たぶん2013シーズンの浦和のキーマンになるであろう選手達の周辺をウロウロと…2012年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像

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■2012年版の広島守備陣[FC東京vs広島(03月31日)FC東京vs広島(03月31日)]

この試合、FC東京は、攻めれど攻めれど、広島のゴールをこじ開けることが出来ませんでした。それもムリありません。だって、広島の守備がカチコチでしたもの。それはそれは綺麗に揃った2ラインのブロックを形成していましたよ。

ただし、広島のシステムは361です。361で2ラインのブロックってどういうことかって話なんですが、要は守備の時、WBは意図的に最終ラインに吸収され、2シャドーはSH化するんですね。だから44ではなく54の2ラインです。さすがにFC東京の強力アタッカー陣と言えども541の牙城は、そうそう崩せません。

まあ、守備の場面で最終ラインが5枚になるというのはペトロビッチ時代から変わらない構図ですね。そういう意味ではラインの組み方が精緻になっただけとも言える。ただ、明確に変化した部分もあります。ペトロビッチの時代は、攻撃時、ボランチが1枚下がって、3バックのうち2枚が攻撃参加する、実質2バック状態になったりしていましたが、そのような状況はほとんどなくなっていました、この試合に関していえば。少なくとも水本と千葉は上がらない。ボランチの森崎と青山もバランス重視なので、基本的に4枚はカウンター対応できる状態にあることが多かった。

その中で、ペトロビッチスタイルの残り香を、唯一、そして強烈に漂わせていたのは、森脇ですね。この選手がフリーマンというか、古い表現を用いるならリベロ的に浮遊していて、チームが攻撃的に行くのか、守備に重心を置くのかは、彼の匙加減に委ねられていたといって良いでしょう。森脇といえば、快活なキャラクターや、ゴールパフォーマンスの発案者という部分で広島の伝統の体現者みたいに言われていますが、むしろ彼は純粋なプレーの面で森保サンフレッチェのキーマンだったように思います。

そんな森脇がミシャの吸引力に魅惑されてしまった2013シーズン、広島は、どういった化学反応を、新たに生み出していくのか。常識的に考えれば、より一層、守備に軸足を置くようになるんじゃないかと想像されるわけですが、わかりやすく攻撃的なカードがなくなったことにより、却って全体の攻撃意識が高くなるみたいなことがあれば、面白くなりそうですね。

■関口の髪型[横浜vs仙台(03月17日)]

仙台を代表するプレーヤーといえば、かつては千葉直樹あたりでしたが、いまでは関口とかが挙げられますかね。その関口、震災の影響で避難所暮らしを経験して、一皮剥けたかと思いきや、2011シーズンは、あまり誉められた活躍ぶりではなかったですね。

まず、チーム事情によってはFWとしても起用されるアタッカーであるにもかかわらず無得点でした。そして、それより何より、「チームに迷惑をかける振る舞いがある」として謹慎的な状況に追い込まれるトラブルもありました。ザックの声もかからなくなりましたし、彼としては不本意なシーズンだったでしょう。

そんな捲土重来を期す関口ですが、この試合でも、存在感は今ひとつ。中盤で奮闘する角田や太田は、よくボールに絡んでいましたが、スタンドから見て遠いサイドだったという面を差し引いても、あまり目立っていなかったと思います。

ただ、この選手の凄いところは、その運動量ですよね。前半からプレスをかけ続けて、それが後半になっても衰えない。周囲の選手は当然、少しずつ走れなくなっていきますから、相対的に時間の経過につれて、関口選手のアグレッシブさは際立っていく。尻上がりに存在感を高めていくところが、この選手の真骨頂ではないかと。

ただし、そうは言っても、この試合における関口は目立っていなかった。その理由をツラツラ考えてみると、決定的な要因にたどり着きました。皆さん御存知の通り、関口のトレードマークは、往年の森高ダンナを彷彿とさせる、オシャレなのか不潔なのか判別困難なロン毛ですね。試合中もロン毛を目印に彼を探すって時代が長かったわけですが、なんと関口、何を血迷ったのか、2012シーズンはこざっぱりとした髪型にイメチェンしてしまっていた。確かに清潔感は格段に溢れだしましたが、それじゃ、その仙台の11番が誰だか分からないじゃないか!

というわけで、そんな関口ですが、この選手もまた赤い彗星の引力に吸い付けられましたね。ただ、森脇を失った広島ほど、仙台は関口の移籍による影響はなさそうです。仙台については、おそらく今年も、去年と同じようなサッカーを展開するものと予想します。

原口元気に期待しましょう[浦和vs札幌(10月06日)]

この試合の一節前、ヤンチャ印の原口君は、ちょっとした悶着的なことを起こしました。ええ、あれです、例の。前半の20分ちょっとで交代を告げられ、ベンチに当たり散らして、まではいかないまでも、ペトロビッチ監督をはじめ、チームのファミリーに対して、随分と不遜な態度を取ってしまったとかいう、あれですね。

それに対し、ペトロビッチは大人の対応。あまり大きくは報道されませんでしたが、たぶん、原口は相当に深い反省を迫られたものと推測されます。というわけで、汚名返上とばかりに、この試合、原口は頑張りました。そして見事なまでに空回りました。

積極的にシュートを撃っていくものの、狙いすましたかのように、悉くそれがキーパーの正面に飛んでいく。「これじゃいかん!」とばかりパスを選択したら、「何だよ、シュート撃てよ!!」みたいなシチュエーションになる。挙げ句の果てには「そこに飛び込めれば!」っていうマルシオのシュート崩れにも詰め切れないときたもんだ。

それでもペトロビッチは原口を最後まで使いました。昔、誰だったか、当時のジェフの選手がインタビューで、「オシムの凄いところは?」と尋ねられ、「水本とか若手がミスをしたとき、周りで聞いている側が泣きそうになるくらい厳しく叱責する。でも、そこで『使えない通告』をするのではなく、必ず次の試合でも使うところ」と答えていました。

この日のペトロビッチの采配を見ていて、そういう‘オシムイズム’を、この監督はしっかり継承しているんだな、と感じました。また、それに応えようと、原口も出せる引き出しを全て出し切っていたと思います。・・・ただ、この日に限れば、引き出しの中に何も入っていなかった模様ですが。。。