ブラジルサッカーの神髄を見せつけられつつ、奮闘及ばなかったヘスス・コロナに思いを馳せる【アルアハリvsコリンチャンス】&【モンテレイvsチェルシー】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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アルアハリ 0 vs 1 コリンチャンス[CWC準決勝 12月12日]

おっ洒落!! コリンチャンスの先制点ですよ。コーナーキックからの流れでゲレーロがヘディングを突き刺したわけですが、まぁ、お洒落でしたよ。何がお洒落かっていうと、アシストとなったドウグラスのクロス。ワンタッチのアウトサイドで順接のアーリークロスを入れますかねぇ。いや、お洒落。

後半はアルアハリアブトレイカの投入を起爆剤に、コリンチャンスのゴールを攻め立てますが、‘試合運び’の技術はブラジル人のDNAに擦り込まれていますからね。コリンチャンスアルアハリの攻撃をのらりくらりと交わし続け、お約束の〈危なそうに見えるけど実は完勝〉というパターンとなりました。

コリンチャンスといえば、「コリン+チャンス」。そう、‘コリン星のナントカ姫’こと小倉優子に対して、「君は芸能界でやっていけるから、今こそ頑張れ!」とエールを送ることで有名ですが、「ブラジルのチームらしくない」なんてことも言われているチームだったりもします。しかし、やはりそこはブラジル人によって多数派が構成されるクラブ。なんだかんだ言って、やってるサッカーはブラジリアンです。

どの辺がブラジリアンかというと、〈攻撃にメリハリがある〉、これに尽きるでしょう。基本的に堅守速攻型のチームだと思うんですが、ブラジル人らしいテクニックも随所に散りばめられています。この〈ポゼッションを指向しないのにテクニカル〉という、一見すると矛盾した状況が、どのようなメカニズムで発生するのか、ワタクシなりに分析してみました。そこで導き出されたのが、〈低い位置でのパス回しの合理性〉という結論です。

日本の多くのチームは、低い位置でじっくりパスを回すことを苦手としています。それは、そういう状況を「パスを回されている状態」と、ネガティブに感じてしまうからだと思うのですね。〈効果的なパスにこそ意味はあり、直接的に事態を打開できないパスは無駄なパスである〉と捉えてしまう。一方、ブラジル代表にせよ、コリンチャンスにせよ、ブラジルのチームは、そこの時間を大切にする。一見、事態を打開するのには結びつき難そうな低い位置での横パス交換を、悠然と続ける。おそらく彼らは、その時間を‘無駄’だとは考えていない。

具体的には、ブラジル人って、低い位置でのパス回しを、〈この攻撃のターンにおける‘主役’は誰か〉を決める時間として活用しているのではないかと思うのですね。そして、その‘主役’が決まると、一気にテンポアップする。で、‘主役’となった選手は、そのターンにおいては個人技を発動させても良いし、バランスを崩しても良い、そういう特権が付与されるのではないか、そう思われるわけです。

だから、各選手は一試合において何度かテクニカルになることが許されるし、同時に、それ以外の時間帯では、他の‘主役’のためにバランスを保持する黒子の役割を甘受する、と。そういうところにブラジルのチームが持つ勝負強さと華やかさの秘訣があるんじゃないでしょうか。

モンテレイ 1 vs 3 チェルシー[CWC準決勝 12月13日]

先制点はマタ。またまたマタ。股抜きでなくともマタ。「ちょっと待った!」とばかりにマタ。アシュリー・コールがオスカルとのワンツーで抜け出しクロス。それがPA内でフリーになっていたマタに届き、そつなくシュートを突き刺します。

追加点は後半早々。0分ですね。キックオフからの流れでアザールが抜けだし、クロスを受けたトーレスがシュート。モンテレイ守備陣の身体に当たってコースが変わり、半ばオウンゴール気味にゴールへと吸い込まれていきました。

そして、その直ぐ後に3点目。今度は正真正銘オウンゴール。フェルナンドトーレスが、またまた左サイドを抜けだしクロス。またまたマタに届いて、さらに折り返すと、モンテレイ左SBのチャベスが自らのゴールに身体ごと押し込むことに。

モンテレイも意地を見せて、後半のロスタイムにデニグリスが個人技で1点を返しましたが、危なげなくチェルシーが決勝に駒を進めました。今年も例によって例の如く、南米王者と欧州王者の決勝となったCWCでございます。

と言うわけでチェルシーが貫禄を見せつけて完勝した試合でしたが、前半の終わりの20分くらいはモンテレイが押し込んでいました。モンテレイが流麗なパスワークを発揮する一方で、チェルシーはなかなか前線の4人にボールが届かない展開に。

ただ、後半が開始すると早々にチェルシーが2得点を決めます。ハーフタイムを境に一気に形勢が逆転したわけですね。例えて言うならば、それまではB君よりもA君の方が格上だったのに、夏休みにB君が‘卒業’したことにより、一気にB君がA君よりも格上扱いされるようになった高校2年生みたいなものでしょうか。ちょっと違うような気もしますけど。

モンテレイはワンタッチのショートパスをバイタルエリア中央で次々に交換していく、見ていて綺麗なシーンを数多く作り上げていたのですが、如何せん、パスレンジが短い。必然的に手数がたくさんかかってしまい、結局はチェルシー守備陣のバランスが整っている、という状況が繰り返されました。

その中でアクセントの役割を担ったのがヘスス・コロナ。前半は左サイド、後半は右サイドにいることが多かったと思いますが、イメージ的には、2列目3人のうちカルドソデルガドはシャドー気味に真ん中に居て、コロナはウイングとして「右でも左でも、どうぞご自由にお張り下さい」といった感じのポジショニングでしたでしょうか。

実際に小気味の良いドリブル突破を随所に見せてくれて、実況席の城さんと北澤さんも絶賛していたのですが、事態を打開するのにそこまで効果的なプレーが出来ていたかというと、やや微妙。確かにシュートも含めてインサイドキックばかりが目立つチームの中では異質の存在ではありましたが、正直、欧州王者に一泡吹かせるのには、現時点では、やや役不足だったかな、と。