高萩への期待を高めつつ、KリーグとJ2の共通点に思いを馳せる【広島vsオークランド】&【モンテレイvs蔚山】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

サンフレッチェ広島 1 vs 0 オークランドシティー[12月06日 CWC]

いやぁ、凄いシュートでしたね、青山。佐藤寿人を起点とした美しい展開から森崎浩司がヘディングシュートを撃って、ファインセーブで防がれて、こぼれたところに詰めた高萩が至近距離からシュートを撃って、やっぱり弾かれて、「あらまぁ」ってガックシしていたら、伏兵青山が、奇跡的な無回転ロングシュートを突き刺してしまいました。

尤も、このシーンに関していえば、高萩のシュートが決まらずボールがタッチラインを割りそうになったとき、諦めず繋いで次の展開を準備した佐藤寿人の一仕事が、何よりも立派だったと思います。

さて、オーストラリアがアジアに転向して、もはや大陸らしい大陸がないにもかかわらず、建前上、出場させなければならないので参加して頂いているオセアニア代表のオークランド。実力的には天皇杯ベスト8くらいのチームでしょうから、常套手段として穴熊戦法を採用します。

当然、相手にサイドチェンジをされてもお構いなし。ゴール前の真ん中を固めることを最優先にしますから、サイドチェンジされたからって、いちいち右往左往しませんし、広島が低い位置でボール回しをしても、プレスなんて掛けません。前線の3人は、それなりにチェックを敢行していましたけど。

挙げ句の果てには、ショートコーナーだって「どうぞ、どうぞ」とばかりに完全放置。というか、ショートコーナーに対応しなかったのは、戦術上の共通理解なんですかね?それとも、ニュージーランドにはショートコーナーなんてお洒落なプレーをするチームが存在せず、「そもそもショートコーナーなんて概念が存在しない!」とか、そういう問題なんでしょうか?

ともあれ守りを固めた相手には、‘意表を突くプレー’が必要となってきます。広島の場合、それは高萩の担当分野ですよね。今年はベスト11に選ばれるなどプチブレイクしたファンタジススタですが、この選手は悠然とした姿勢で視野を確保している佇まいに非常に趣がある。

加えて、良い意味で日本人体型なところに、安心感がありますよね。寸胴というか、ハイレベルな座高というか、アンチモデル体型というか。奥大介ばりにソックスをダランとルーズソックス状態にしているから、そう見えるだけかもしれませんけど。ついでにいえば、ルックスも、なかなか日本人的。80年代的表現を用いるならば醤油顔、どことなく中村獅童に似ているように思えるのはワタクシだけでしょうか?てなわけで、顔もシルエットも〈日本人を代表しています〉な高萩選手から目が離せません!!

モンテレイ 3 vs 1 蔚山[12月09日 CWC]

先制点はモンテレイ。デニグリスのシュート性の折り返しをコロナが押し込みました。ワンタッチを多用したゴール前での崩しが非常に小気味よかったですよね。Jクラブのお手本にもなるような綺麗な形。挨拶代わりというには余りにも強烈な一撃でした。

2点目も同じような形。グダグダとボールを回しながら時計の針を進めているように思わせてといて、突然、スピードアップ。3人、4人と分厚くボールに絡んでいきながら、ワンタッチパスをこれでもかと繋いで、蔚山ディフェンスを翻弄。最終的にはデルガドが追加点を突き刺します。

ダメ押し弾もデルガド。右に開いたアジョビが簡単にデルガドに預けると、デルガドは、見事なテクニックで蔚山CBとGKを嘲笑うようにいなしきって、悠々と得点を決めてしまいました。こういう、ゴール前での遊び心というのは日本人が持ち合わせていないものですから、良いものを見せてもらえました。

蔚山も意地を見せます。イグノが思いっきりミドルシュートを撃ったらブレ球になって、モンテレイGKのオロスコの牙城を破りました。初戦の青山といい、この大会の使用球は、無回転を撃ちやすい仕様にでもなっているのでしょうか。

さて、放送中でも何度か触れられていましたが、蔚山にはJリーグでもお馴染みの選手がけっこう沢山いましたね。イグノ・キムスンヨン・ラフィーニャ・イホ・カクテヒと言った面々ですが、所属チームを振り返ると、ガンバ大阪・大宮・京都ですか。なんだか、降格してしまったり、残留争いに巻き込まれてしまったり、昇格争いの最後で脱落したり、降格残留争いで残念な結果に終わったクラブに集中しているのは偶然なのか、何かの因果なのか。

特にイグノ・キムスンヨン・ラフィーニャと3人もの選手を‘供給’することとなったガンバにとっては、皮肉そのものですが、かつて蔚山に所属していた家長が応援に駆けつけたように、大阪と蔚山って、ともに前近代から続く一大港町ですし、そういう‘流通経済上の拠点同盟’みたいなものがあったりするんでしょうか?

ともあれ元ガンバ勢の中でも目を惹かれたのがラフィーニャ。そうです、あの〈栃木のロボと草津ラフィーニャ〉として北関東界隈を席巻した、あのラフィーニャです。好不調の波の大きな選手のようで、草津でも長引くスランプ期間がありましたし、ガンバに引き抜かれてからは一向に調子が上がらず、追われるように韓国に渡ったラフィーニャですが、どうやらKリーグの水が彼には合ったらしい。しなやかな身のこなしで、チャンスを量産していて、調子は良さそう。

Kリーグというのは、この試合の蔚山を見ていても分かるように、スピード&パワーというかキック&ラッシュというか、そういうシンプルなサッカーをしますよね。無駄に繋ぎすぎない、過度なポゼッションを目指さず主導権にも拘らないという意味では、J2に近いと言えなくもない。少なくとも、〈攻撃はFWに任せた〉というスタイルはKリーグとJ2とで、かなり共通するので、ラフィーニャにはフィットしやすかったんでしょうね。・・・ってことは、リカルド・ロボあたりも、案外、対馬海峡を越えれば蘇生するのかも。