■磐田 2 vs 1 ガンバ[J1リーグ最終節 12月01日]
ジュビロのホームゲームにもかかわらず、ガンバにばっかり注目してしまっていたことの罰でも当たったのでしょうか、山田のクロスに中澤と藤ヶ谷が重なってしまい、オウンゴールでガンバは先制されてしまいます。「〈ガンバに注目しすぎた〉という管理人の行為の報いを、なぜガンバが受けなければならないのか?」というツッコミは受け付けかねます。
後半になると、幾分持ち直したガンバが反撃にかかります。サイドからPAに侵入した倉田が個人技でジュビロ守備陣を翻弄。角度のないところからネットの上部に強烈なシュートを撃ち込むという、ど派手なゴールで同点に追いつきます。
しかし、やられたらやり返すのが今年のジュビロ。後半も40分になろうかという時間帯、倉田にやられたのと同じような位置・角度から小林が、「これでもか!」とばかりにシュートを突き刺し、ガンバを奈落の底に落としました。
というわけで、‘前田遼一の呪い’という都市伝説が、今年も猛威を振るうJリーグとなりました。菅原道真や平将門もビックリなくらいな怨霊力。別に紳士然とした前田が誰かに恨みをネチネチ抱いているとは思えませんけど、ガンバからしてみれば、前田のユニフォームが‘サックスブルー’ではなく、顔面蒼白の‘蒼’と映ったに違いありません。
そして、何の因果か、最終節にJ2落ちの引導を渡したのもジュビロ磐田。ジュビロがガンバを下したことによりアルビレックスが残留したわけですから、磐田が新潟をアシストしたとも言えるでしょう。「・・・でも、磐田に新潟をアシストする義理なんてあるのか?」とか思ってしまうわけですよ。
そうしたら、ありました。両者が手を組む必然性が。新潟といえば上杉謙信で、磐田(静岡)といえば今川義元、そう、ともに〈憎き、武田信玄!〉という共通感情を抱える両地域なんですね。そういう意味では、「来年はJ1で一緒にヴァンフォーレをやっつけよう!」という阿吽の呼吸が働いたのでしょう。
・・・なんて冗談は置いといて、まぁ、ホーム最終戦で、お尻に火の付いたガンバに負けず劣らずの気迫を見せつけてくれたジュビロの選手に、純粋に敬意を表しましょう。この試合、レアンドロのポスト直撃シュートなど、運に助けらる場面も散見しましたが、ジュビロの勝利をたぐり寄せたのは、磐田守備陣の粘り強さでした。
二川のテクニカルなシュートをGK八田はワンハンドでかき出したり、何よりも後半36分のシーンが凄かった。PA内の至近距離から撃った家長のシュートを宮崎がブロックし、続けざまに放たれた佐々木のシュートは小林がカラダを張る。最終的にゴールインした遠藤のシュートもオフサイドとなった、あのシーンですね。あそこにこの試合の全てが象徴的に凝縮されていたと思います。
■マンチェスター・ユナイテッド 3 vs 2 ブラガ[チャンピオンズリーググループステージ 10月25日]
あっちゅう間に先制されましたね、マンU。ショートコーナーからアランにやられました。その後も、マンUが悪かったのか、ブラガが良かったのか、そもそものスペックなりデフォルトの問題なのか、しばらくは一進一退の展開が続きます。
追加点もブラガ。得点者も1点目と同様にアラン。左サイドでエデルが、ちょちょちょいっとキャリックを抜き去り、グランダーで折り返すと、あとは押し込むだけでした。敵地で格下視されていたブラガが2点を先行するという、予想外の展開。
ただ、そのままマンUが引き下がるわけもなく、ファンペルシーが左サイドで華麗なテクニックを披露しながらごちゃごちゃしていたら香川の前にボールが転がってきてクロス。エルナンデスが頭で合わせて1点差に。いまだ前半25分。
その後は、しばらく得点の入らない時間帯となりましたが、後半の15分過ぎ、マンUが同点に追いつきます。ファンペルシーのコーナーキックがエバンスの足下に入り、なんだかコロコロして、転々とゴールの中に吸い込まれていくと、もはやマンUが勝ち越すのも時間の問題、ってなわけで、後半の30分、右からのクロスにエルナンデスが飛び込んでいったエルナンデスの頭にピンポイントで届き、この試合はじめての勝ち越し点をマンUが奪いました。
というわけで、香川のアシストが逆転劇の呼び水になったわけですが、その後も香川には良いプレーがありました。前半の34分、中盤でのパス回しに参加した香川が、そのまま攻め上がり、PA内で決定的なチャンスを演出しかけます。演出しかけるのですが、報われることはなく。なんとなれば、オフサイドの判定を蒙ったからですね。
ただ、どうやら実際にはオフサイドではなかったようで、現地のカメラは盛んに問題のシーンのVTRを繰り返し、ラインズマンのアップを映し出します。そして、そこで「ギリギリじゃなかったですか?」と思わず言ってしまう青嶋さん。
このあたりは日本のテレビ局社員に染みついた悲しき性(さが)でしょうか、審判の誤審を指摘するような直接的な表現は条件反射的に忌避してしまうらしい。「ジャッジング批判をすれば、リーグ当局から説教される」というのは日本国内限定の慣習でしょうから、海外のリーグ戦であるチャンピオンズリーグにおける誤審に対して遠慮する必要は微塵もないですし、そもそもヨーロッパには「審判は批判するべからず」なんて文化はないはずなのですが、日頃の習慣ってのは、ついつい出てしまうようですね。
話を香川に戻しましょう。それなりに見せ場を作らないわけでもなかった香川ですが、前半に足を痛めたこともあり、後半開始とともにナニと交代してしまいました。そして、その交代策が奏功して、後半は一方的なマンUペースとなります。
もっとも、これは香川よりナニの方がチームにフィットしているとか、そういう問題ではなく、選手交代とともにシステムを442に変更し、ボランチを2枚にしたことの影響が強そうなので、「まぁ、良いっか!」ってことにしておきましょう。