EUROの決勝と総括の周辺をウロウロと…【ユーロ観戦記】

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オリンピックも近づいてきましたが、例年に増して戦国状態がえげつないJ2戦線に目が離せない今日この頃、皆様におきましては如何お過ごしでしょうか?

ワタクシは別館4thDayMarketCentreをアップしております。

いろいろ凝縮された先制点、とかなんとか言っちゃって浦和vs鳥栖(07月07日)その1

「コラッ」といえば「加藤」、とかなんとか言っちゃって浦和vs鳥栖(07月07日)その2

たぶん坪井は愛されている、とかなんとか言っちゃって浦和vs鳥栖(07月07日)その3

■スペイン 4 vs 0 イタリア[07月02日 EURO2012]

先制点はスペイン。イニエスタが狭いところに出したスルーパスにセスクが抜け出し、その折り返しにシルバが合わせたもの。金田さん曰く「シルバの額を狙って出さなかったら合ってなかたクロス」。シュートみたいな早い弾道のクロスだったのでシルバの首も、よくムチウチにならなかったな、と。

スペインは前半のうちに追加点を挙げます。シャビが、「これぞシャビ」っていう足の長いピンポイントスルーパスをドリブルしながら出すと、それが長い距離を走り込んだ左SBのアルバの足下にピタッと届き、そのまま流し込みます。余りにも鮮やかなゴールにブッフォンもお手上げでした。

そして後半終了間際、温情采配(?)で投入されたトーレスがイタリアの息の根を止めるダメ押しゴールを押し込みます。これもトーレスらしい抜け出しでしたね。こうなると、さすがのイタリアもグダグダに。さりげなく途中出場してきたマタがサクッと4点目を決めて、打ち止めとなりました。

スペインが完璧な強さで勝った試合でしたね。

この試合、スペインはかなり高い位置でプレスをかけて、イタリアのビルドアップを阻害していました。おそらく理由は3つ。一つは、ボヌッチバルザーリといったイタリアのCBコンビの”粗相”を誘因するため。足下の技術という観点に立ったとき、相対的に拙いのは、ここですからね、そこでボールを奪ってしまおうということでしょう。特にボヌッチは危うかった。アタフタしていた。

そして、2つめが、多分これが主目的だったかと思われますが、ピルロを封じること。この試合、ピルロはかなり低い位置に押し込まれ、かつ、それでいて自由を奪われていた。そうなればイタリアはかなり厳しい。

イタリアの良いときは、デロッシピルロの影武者みたいになって全く目立たなくなるのですが、この試合では、ピルロに成り代わってゲームメイクに奮闘していました。これはイタリアにとって不本意なシチュエーションでしょう。

そして最後3つめ。これは単純な話。スペインは多くの時間で相手陣内に大人数が攻め込み、相手守備陣を釘付けにするわけですので、ボールを奪われたからといって、イチイチ戻っていては非効率。もともと高い位置にいるのだから、そこでプレスをかけるのが最も省エネで合理的って話でしょう。

なので、一般的に「ハイプレス=エネルギーの大量消耗=玉砕主義」という構図で語られることが多いのですが、スペインに限っていえば、ハイプレスをかけ続けることと大量消耗は全く相関しない。むしろ反比例の関係にありそうです。

一方、イタリアは試合開始早々にキエッリーニを失い、そして後半には最後のカードとして切ったモッタが肉離れでピッチを去る。20で負けている状態で1人少なくなったのですから、もうお手上げですよね。バロテッリカッサーノディナターレといった前線のタレントに一縷の望みが託されましたが、唯一、相手に関係なく淡々と安定したパフォーマンスを期待できるカッサーノは前半だけで引っ込み、バロテッリディナターレを良いところなし。まさに完敗でございました。

■総括

地上波だけですが、何試合かEUROを観戦してきて、トータルとして気づいたことを幾つか述べていきたいと思います。

□1トップ不足

まず、今大会を通じて思ったのが、1トップの人材は世界的に欠乏しているんだなあ、ということ。例えばドイツのマリオゴメス。ゴールこそ決めていますが、90分を通じて存在感を示し続けるという試合はなかったのではないでしょうか。あるいはポルトガルのポスチガ。この人も殆ど良いところがなかったように思います。

イングランドルーニーを2ndトップと考えると2トップでしたが、1stのウェルベックは少し役不足感を否めませんでしたし、優勝したスペインでさえ最前線真ん中だけは数少ない「改善点」として挙げられるでしょう。今大会1トップとして起用され、安定的なパフォーマンスを発揮していたのはフランスのベンゼマくらいだったのではないでしょうか。

2トップで臨んだイタリアはカッサーノバロテッリともに躍動していましたし、そう考えると、よく「日本には良い1トップがいない」なんて言われますが、もはや4231や433というのは、研究・対策が進み、実力が均衡した試合になると、否応なしに1トップが消されるという犠牲の上に成立するシステムになってしまったなのかもしれません。なので、前田に過度な期待をするのはやめましょう。それは理不尽ってものです。

□試合進行の合理性

いくつかの試合で顕著だったのですが、やはり欧州の人々って、ものごとを合理的に考えるというか、その場その場で最適な選択をするという思考習慣が徹底していますよね。

具体的には、選手が痛んで倒れているときの取り扱いです。当たり前っちゃ当たり前ですが、選手が倒れたとしても、彼らは、重大な負傷であるか、演技混じりに転げ回っているだけなのか、痛いんだろうけど所詮は軽傷なのかってのを、その時々で選手各人が判断し、試合を止めるなり、審判の判断を待つなり、そのまま続行するなりを決めていました。

Jリーグを見ていると、その辺りは完全に作法化していて、「選手が倒れる→自動的にボールを外に出す(出さなければサポーターは杓子定規にブーイング)→スローインを受けた選手は相手のゴールキックになるように蹴り出す」、ほぼ絶対的に、この作法を遵守します。もはや思考停止状態ですよね。

相手にボールを返すなら、どのような形でも良いのに、律儀に皆さん必ず相手ゴールキックになるように返すし、サポーターも負傷の程度に合わせてブーイングの音量を調整するなんてことはしない。かつてJ2の某クラブが「ウチは絶対に自発的には止めません」と宣言したり、J当局も「審判が判断するまで続けるように」とのお達しを出しましたが、これも思考停止をそのまま裏返しにするだけで、「臨機応変に、その場その場で最適な判断を各自が行う」という発想が決定的に欠落している。おそらく、日本代表が本当に世界の列強と互していきたいなら、その辺りの国民性の克服が必要不可欠でしょう。