なでしこアジア最終予選の周辺をウロウロ振り返る

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別館4thDayMarketCentreではJFLのマッチレポを展開していますが、これも今週まで。また、そのうちJリーグに戻ります(予定は未定)。

おかしな判定ブームはJFLにも及ぶ、とかなんとか言っちゃって横河武蔵野FCvsSAGAWA SHIGA FC(04月15日)、その4

嶋田なでしこ七変化、とかなんとか言っちゃって横河武蔵野FCvsSAGAWA SHIGA FC(04月15日)、その5

JFL版の中田英寿vs名波浩、とかなんとか言っちゃって横河武蔵野FCvsSAGAWA SHIGA FC(04月15日)、その6

ロンドン五輪アジア最終予選 日本 1 vs 1 北朝鮮(09月08日)

普通に北朝鮮が強かったですね。日本の出来が悪かったという要素もあるのかもしれませんが。

北朝鮮が日本代表より優れていた点は大きく2つ。他にもイロイロあるかと思いますが。1つには中盤での運動量、もう一つが前線のキープ力。

まず中盤の運動量から述べると、どの場面を切り取っても、テレビ画面の中には青いユニフォームより赤いユニフォームが多かったですよね。攻撃時には3人4人と次々にPAに進入していく。ボールを奪われると直ぐさまプレスバックして、日本のボールホルダーに対して1対2、1対3のシチュエーションを作る。日本代表の生命線である、中盤、特に宮間選手や澤選手にボールが入ると、複数の選手がプレッシャーをかけていましたね。

本来のなでしこ達なら、そこで巧みにいなして逆に自分たちの数的有利を作り出していたのかもしれませんが、その辺りのパス、なかでもワンタッチでのパスが、ボール1つ分ずつ、あるいはもっと大幅にずれてしまっていた。疲れの影響があるのかどうかは判りませんが、そういう様子ですので、なかなか自分たちのリズムを作れないですよね。

もう一つはFWの強さ。

北朝鮮の2トップに対して、楔のパスを石清水や熊谷あたりが突っついても、しっかりカラダを張って、マイボールをキープしていた。中盤の選手が前を向いて楔を入れると、多くの場合で、「縦パス→ポストプレー→中盤が受け直す→サイドに振る」というプロジェクトが完結していた。日本代表は永里選手が奮闘していましたが、この部分でも北朝鮮の方が優れていました。

要するに北朝鮮は、往年のオシムのようなサッカーをしていたわけで、ワタクシ的には運動量がどの時間帯まで持続するのか?ってところが懐疑的でした。せいぜい後半の20分くらいまでかな、と。

ところが、北朝鮮は後半に入ってからもガンガンにプレスをかけてきました。これは、なかなか凄かった。こういう情景を見せつけられると、我々日本人は、ついつい、その主要因を「精神力」に求めがちです。しかし、このタイミングで、「北朝鮮の人々は困難な状況でも、めげないね」なんて言うと「政治的主張のメタファーか!」とお叱りを受けてしまいそうです。ましてや「ハングリー精神が尋常やないね」とかこぼしてしまえば、完全にシャレになりません。純粋に彼女たちのスタミナが為せる業でしょう。

その証拠に、後半30分を過ぎたあたりから若干、運動量に翳りが見えました。精神力が運動量の源泉ならば最後まで衰えないはずですからね。ともかく後半30分過ぎから日本に少しずつペースが移りだし、永里選手が乾坤一擲のヘディングで先制点を奪いました。

ただ、せっかくの先制点もロスタイムに同点弾を被弾してフイに。直接的な要因は近賀選手のクリアミス。その後の報道によると近賀選手は、このミスに対して相当に落ち込んでいたとのこと。

しかしですね、鮫島選手と近賀選手の両SBは、ハードな日程の中、他の選手がターンオーバーされる一方で、フル出場を続けていた。しかもSBという最も運動量を求められるポジションで。そりゃ、後半もロスタイムになれば乳酸が溜まりまくって、頭の中の酸素がハンパなく不足し、判断力とか、丁寧さとかいったものが不十分になるってもんです。勿論、結果として出場権を獲得したからこそ言えることですが、あのときのクリアミスは、近賀選手にとって汚点では決してなく、勲章だと評価して良いのではないのでしょうか。

ロンドン五輪アジア最終予選 日本 1 vs 0 中国(09月11日)

この試合は初戦と同様に、普段あまり出番に恵まれない選手を多く起用していましたね。予選突破を決めた後の消化試合なので、まあ、妥当な判断です。

相手は中国。どういうサッカーをしてくるのかと思っていたら、イメージ的には10年くらい前までの男子韓国代表みたいな感じでした。スピードとパワーを全面に押し出したサッカー。それを「ちゃぶる」だけの連動性が、この日のメンバーには熟成されていなかったこともあって、その勢いにタジタジになっていました。

ただ、どちらかというと中国代表は、ミドルシュートに特化していましたね。この試合、日本のCBは熊谷選手ではなく本来は中盤を専門とする宇津木選手を起用していたので、この中国のミドルシュート作戦は、日本にとって有利に働いたように思います。決定機の手前まではパワー&スピードでも、最終的にミドルシュートとあらば、要するに地上戦なんで、しっかりブロックを形成しておけば、それほど怖くありません。

それよりも、アバウトなアーリークロスをガンガンに入れられて、CBに不慣れな宇津木選手が何度も相手FWとの空中戦でカラダをぶつけ合わなければならないってことになると、そこに一抹の不安が発生します。そもそも、パスサッカーをいなすためにはロングボールというのが基本だと思うのですが、この予選を通じて、割り切ったロングボールに苦しめられるってことは、それ程なかったですよね。あるいは(特にアジアの)女子選手には、キック力的に厳しい部分があるんでしょうか。

ところで、ワタクシ、まれに中国人の方とお会いすることがあります。で、そのときの印象でいくと、中国出身の方は明確に2種類に分かれる。中国国内の「日本は嫌いだよ教育」は、純粋に国内政策なわけですが、要するにそれは貧富の差により発生する政府への不満の行き先を逸らすための政策なわけですね(領土的なヤツはもっと生々しいリアルが絡んできますが…)。つまり、中国国内には貧富の二極化、具体的にはエリート都市民と農村出身のプア層という二極化が進んでいるようです。

で、ワタクシの個人的な感覚では「一人っ子政策全開な都会っこ」と「農村部出身者」では、かなりメンタリティが違う。電車の中で大声を出して電話とかしている「自分たちこそ〈中華〉ですけど、何か?」っていう、一般的に日本人が苦手とするようなガサツな(と日本人には感じる)人々、日本人的発想からすれば「周囲に合わせるという気遣いがないにもほどがある」って人たちは、都市出身のエリートお坊ちゃまであることが多い。一方、農村部出身の人たちは、本当にビックリするほど素朴で、いわゆる「田舎の良い人」だったりします。

いきなりを何を力説しだしてるんだ?って話ですが、試合を見ていて、中国代表の選手たちを見ていて、なんとなく、「このコたちは農村部出身の素朴な良いコたちではないか(はあと)」とか、勝手に妄想を膨らませていたってことです。その根拠は、主に「黒髪で化粧っ気がない」ってことだけなんですけど。

こうやって、見た目に騙されると痛い目に遭う、と、世間では言われますが、現在のところ、ワタクシ、見た目に惹かれてアタックして成就したことがないので、「美人から痛い目に遭う」という素敵な経験をしたことがありません。