名将の条件の周辺をウロウロと…2011年シーズンのJリーグを振り返る・監督の横顔編

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

毎度のことながら別館4thDayMarketCentreのことも可愛がってやってくださいましと切に願う今日この頃です。

「画素数=カメラの性能」説の界隈をサラッと。

ちばぎんカップの成績とシーズンの結果=反比例」説の界隈をサラッと。ちばぎんカップ、その2

「マルチロール=両刃の剣」説の界隈をサラッと。ちばぎんカップ、その3

前回は、あまりサポーターさんの評価が芳しくない監督達の横顔を覗いてきましたが、今回は、賛否両論は当然あるんでしょうが、基本的にポジティブな評価をうけることの多い監督達を取り上げます。

まずは、G大阪の西野(元)監督。前エントリーの最後に引き続き、横浜FMvsG大阪(09月18日)を取り上げます。

この試合、ガンバの中盤は、武井・遠藤・明神・二川の組み合わせでした。もし、直近の試合では継続的に同じ形である、ということをチェックしていなければ、一瞬、武井・明神のダブルボランチに、2列目が二川・遠藤の「翼君・岬君コンビ」なのかなって勘違いしてしまいそうじゃありません?

2011シーズンのガンバって、全体的に誰がどこのポジション?ってことが多くなかったですか?

つまり複数のポジションで活躍した選手が多いってことですね。この試合で言うと、後半途中に、二川・武井に代わって、アフォンソ・キムスンヨンが投入されたのですが、アフォンソは元来FW登録の選手ですし、キムスンヨンもFWで起用されたことのある選手です。一方、前線のイグノ選手は4231だとウイングの位置に入ったりすることもある選手。

実態としては、武井・二川の位置に、そのままアフォンソとキムスンヨンが入ったのですが、しっかり目視して確認するまでは、誰がどこに入って、フォーメーションに変化があるのかどうか、さっぱり分からないですよね。

で、ガンバが挙げた同点ゴールは、遠藤のコーナーキックが逆サイドまで流れて、そこに青山釣り出されて空白になったゴール前でラフィーニャ選手がヘディングで競り勝って決めたもの。重要なのは、それが起こったのが選手交代の直ぐ後だということです。青山選手が釣り出されたのが致し方ないことなのか、判断ミスなのかは判然としませんが、或いはこれは「誰がFW?」状態の中で、マークの確認がルーズになったことにより決まったゴールなのではないか?とか思うわけです。

そして仮に、それが西野監督のシナリオ通りで、二枚代えに眩惑作戦的要素もあったとしたら、西野朗恐るべし、だななんて感じました

続いて、横浜FCの岸野さんを取り上げます。この監督については、鳥栖時代は声望がありましたが、横浜FCに移ってからは苦戦していますね。2012シーズンの出来によっては、ネガティブな印象の監督になるかもしれませんが、ともあれ横浜FCvs京都(11月26日)を素材に。

岸野さんといえば、赤いキャップがトレードマークの、どちらかといえば体育会系気質的な発言を好む監督さんですね。何かと言えば「気合いと根性」を強調するような印象があります。

ただ、あくまでそれは「スタートラインに立つためには最低限必要なことだよ」というスタンスと思われ、やっているサッカーは決して脳みそまで筋肉で出来ているタイプのプレーヤーでは応えきれないだろう要求をしていそうな雰囲気です。

と言いますのも、例えば藤田選手なんかに典型的だったのですが、前線の選手はPA付近、或いはPA内でも一度きちんとルックアップしてから次のプレーを選択していたように感じたのですね。

つまり、おそらく岸野監督は「いついかなる場面でも最適な選択肢を誤らない判断力」を選手に求めているのではなかろうかと。なんでもかんでもシュートを撃てば良いわけでもないが、消極的なだけで非合理的なパスも認められない、みたいな。「心は熱く、頭はクールに」的な。だとしたら(以後、以上の推測を前提に述べていきます)、それはそれで非常に素晴らしい理念ではあります。

ただ、少し疑問がないわけでもありません。つまり仮に岸野さんの目指すものが「心は熱く、頭はクールに」だとするならば、それは、J2の選手には余りにも高すぎるハードルということにならないだろうか、なんて考えるのですね。

果たして、(失礼な表現ですが)J1から転がってきた選手たちに、達成可能な課題なのだろうか、なんてことを思います。或いは、部活みたいに3年間くらいほとんど全く選手の入れ替えがなく、同じメンバーでジックリ熟成させれば不可能ではないかもしれないのですが、3年もあれば半数近くは選手が入れ替わるJクラブで、それが可能なのか、岸野さんの手腕に期待したいところです。

さて、この試合、ロスタイムを含めた最後の5分で京都が2得点をあげ、横浜FCに逆転勝ちしました。こういった試合展開を見ていると、まさに調子の良いチームと悪いチームだなという、各々のチームが置かれている状況が、ありありと伝わってきます。

つまり、この試合に至るまでの京都は絶好調で、リーグ戦終盤の勝ち点取得率は、おそらく1試合あたり2を越えていたと思います。そういうチームコンディションですので、たとえ1点ビハインドの状態でも、特に追い詰められることもなく、シッカリと試合をひっくり返してしまう。

おそらく京都は自分たちのサッカーに自信満々だったのでしょう。試合終盤だからと言って特にブレることがない。だから、語弊のある表現かもしれませんが、状況的に追い詰められていても、「リラックス」している。

逆に不振を極めた横浜FCは、1点のリードを守りきろうと、長い時間に渡って必要以上に集中力を高めていたんだと思います。「集中力を高める」という言葉を聞くと、一瞬、良いことのように思われますが、「集中した状態」とは見方を変えれば「自らを緊張した状態に置く」ということと同義であって、集中力を高め続けるというのは、緊張し続けるってことですよね。

要するに、それじゃ、もたない。

ここに調子の悪いチームが陥る悪循環があるように思います。

すなわち、「最近、勝ててない」→「いつも以上に集中しよう!」→「過緊張状態でゲームを進める」→「最後までメンタル的なスタミナがもたない」→「終了間際やロスタイムに失点する」→「次の試合こそ集中しよう」→「より一層、過緊張状態に自分たちを追い込む」→…

みたいな。

そう考えると、良い監督というのは、チームコンディションが低調な状態、雰囲気が悪い中でも、適切に選手を「弛緩」させてあげられる指導者なのかもしれません。