駒野報道の周辺をウロウロと…南アフリカWCの日本代表を振り返る、その8

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

別館4thDayMarketCentreも快調に更新しておりますので、よろしくです!

さて、本シリーズの以前のエントリーで、駒野とか松井とかの話題に触れました。で、その上で、大切なのは「美化できる物語があるかどうか」みたいなことを言いました。

ワタクシ、そういうマスコミの「美化」、すなわち、「事実をありのままに伝える」のではなく、「読者が喜びそうな方向に脚色(=歪曲?)する」という姿勢に、特に抵抗はありません。積極的に肯定するつもりはサラサラありませんが、別に否定・批判しようとも思いません。

だって、それで売れるんだから仕方ないじゃん

みたいな。

「マスコミは売れることしか考えてないんですかね?」

という意見を聞くと

「そりゃそうだ」

と思ってしまいます。

だから、本エントリーは、報道に対して若干批判的な内容になりますが、それは企業としてのマスコミを否定するためではなく、マスコミを需要する側の我々一般読者について、ワタクシたちも、まだまだ努力が必要ですよねって言いたいってことです。

話題は駒野。なんか、駒野、有名になりましたよね。パラグアイ戦終了直後から、一大「駒野は悪くない」キャンペーンが起きました。まあ、駒野は悪くないわけなんで、別に事実を歪曲しているわけではないですね。

では、マスコミは事実を淡々と伝える一環として、「駒野は悪くない」と報道したのか?

たぶん、そうではありませんね。単純に、そういう報道をした方が視聴率を期待できるからでしょう。

日本人って面白いもので、まぁ日本人に限らないかもしれませんが、「ミスしてふてぶてしくしているヤツ」のことはヒステリックなまでに悪者扱いする。一方で「ミスしてしょんぼりしているヤツ」には、気持ち悪いくらいにゆるい。

「最近、謝らせたがる人たちが増えている」

なんて聞きますが、そういう傾向は、大昔から、たぶん、ずっとあった。露骨にそれを表現するようになったのは最近かもしれないけど。

だから、PK直後の、あんな姿を見せつけられれば、「駒野さえ失敗しなければ…」と報道するより、「駒野は悪くない」ってした方が確実に視聴者のウケは良い。仮に、客観的には「駒野が悪い」って状況であったとしても、「駒野は悪くない」って報道したと思います。

繰り返しますが、それが、我々サッカー好きも含めた視聴者・読者層の平均値ということであって、マスコミ報道は、総体としての我々を写す鏡なわけです。

サッカーとしての本質を伝えるより、日本人の深層心理に訴えた方が「銭になる」とマスコミが判断したことは、最終的にPK失敗が、駒野と松井の友情物語として、需要者に届けられたということからも明らかでしょう。

何が言いたいか。

マスコミに、サッカー好きの欲求に応えようなんて意識は、全くないってことです。

何故か?

それは、サッカー好きを相手にしていても商売にならないからですね。

何故か?

サッカー好きの数と、そうでない人の数が全く異なるからでしょう。要するにサッカーが好きって人が、日本には圧倒的に少ないってことですね。

結局、いつもと同じことを言ってるわけです。ワタクシも進歩がない…

例えば、アフリカで行われたワールドカップにもかかわらず、アフリカ勢が大苦戦するなか、唯一、躍進したのが、ガーナでした。そのガーナは、皆さんご存知の通り、ギャンがロスタイムにPKを失敗したことで敗退しました。

当然、ガーナ人の皆さん的には、「おいおい、ギャンよ」って感じた人も少なくないでしょうが、第三者として客観的立場にいた多くの日本人サッカー好きのなかで、「ガーナが負けたのはギャンの責任。ギャンさえいなければ、もっと上に行けた」なんて感じた人は、ごくごく少数派かと思います。

ほとんどの日本人サッカー好きは、「あの場面でPKを任せられている時点で、無条件にギャンは素晴らしい。それだけの活躍もしてきたし」と考えたのではないでしょうか。

もちろん、贔屓にしているチームが負けたときは、応援する気持ちが強ければ強いほど、口惜しさを押さえきれずに、ついつい、「あいつのせいだ!」って感じてしまうんだとは思いますが、一歩退いて見てみれば、PKの失敗なんて、それまでの120分のプレーの評価に比べれば、とるに足らないミスですよね。

つまり、「駒野は悪くない」なんて、「空は青い」とか、「秋元康には首がない」とか、「ジーコの声は甲高い」とか、それくらい当たり前のことなんですよね。「秋元康に首がない」からって、それがニュースになるか?って話です。

「駒野は悪くない」がニュースになるってことは、とりもなおさず、「PK失敗は大した問題ではない」ってことが、平均的日本人の共通認識になっていないってことなんですね。

「駒野は悪くない?へぇ、そういうもんなんだ」って感じるのが、マスコミの顧客(=一般的日本人)の多数派ってことで、この現実は、目を逸らさず受け止めなければならない。そういう状況で自分に何ができるかって考えると、自分の無力さを感じずにはいられませんが…

ともあれ、いつか、多くの人が「日本代表、PKで負けたね。ところで失敗したの誰だっけ?」って反応を示す日が来ることを夢見てやみません。