FC東京vs富山の周辺をFC東京目線でウロウロと…

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いやぁ、暑かったですね。5月と言っても最高気温が25℃とかいう感じでしたし。

ただ、暑いと熱いは若干違って、FC東京の繰り広げたサッカーが熱かったかというと、微熱というか何と言うか。羽生のヒーローインタビューには目頭が熱くなりましたけど。

この試合の目玉政策は、なんと言っても梶山のFW起用でしょう。よくあるパターン的に、登録上はFWだけど実際は中盤とか、メンバーリスト上は442ながら、中身としては451みたいなことかな、なんて思っていましたが、これが、実質的にも梶山は「FWとして動くように」と指示されていた模様。

もちろん、元々のプレースタイルがあるので、PA内で張り付いたはしないですし、低い位置まで貰いに下がるなんてことも少なくなかったのですが、あれこれ勘案するとFWとして動いていたように思います。

まず、GKからのゴールキックに競り合っていましたからね。いつもの癖なのか何なのか、全く頭の中から「競り合わなければならない」という発想が失われてしまっていたこともありましたが、多くの場合、一応、「ロングボールに競り合う当番」を担っていたように記憶してます。競り合いに勝てていたかどうかは置いといて。

それから、相手の攻撃に移った際、深追いせず前線に残る、という役割も与えられていたと思われます。

なので、梶山選手は、守備のときは下がらずに、攻撃になるとボールに触ろうと下りていくというようなことを繰り返しておりました。このプレーパターンと、ロングボールに競り合う役割を与えられていながら、そこそこ身長があるのに勝てない、という特性を踏まえると、この日の梶山選手って、誰かに似ていませんか?そうです、ワンチョペそっくりなのです。

さて、前線の一角が梶山選手で、2列目が鈴木達也選手と中村北斗選手だったことも影響したのでしょうか、それとも、今シーズン毎度の光景なのかもしれませんが、この日のFC東京の攻撃には、あまりクロスというものが存在しませんでした。特に60分過ぎまでは。

椋原・阿部の両SBも、それなりにはオーバーラップしていましたし、前の4人も、サイドにスペースがあるときは臨機応変に流れてはいたのですが、そこから中に入れるボールが、「後は合わせて下さい」みたいなクロスというよりは、中にいる選手の足元に出すショートパスなんですよね。

いわゆるワンタッチゴーラーがいないですし、ヘディングで勝てそうなのも高松選手くらいだから、仕方がないと言えば仕方がないのですが、少なくとも、それによって攻撃の選択肢は確実に1つ減ってしまっています。それより何より、PAラインの内外でサイドからのボールを受け取った選手に悉く「バイタルエリアでシュートを撃とうとしたらモタモタしてしまう病」が伝染してしまっているらしく、全くヒットしなかったり、芝に足をとられてけっつまずいたり、よく分からないけど気が付けばタイミングを逃していたり、とにかくシュートらしいシュートを撃てないのだから、問題は深刻です。

こうなるとFC東京サポーター名物の「シュート撃て」コールの大合唱となりますよね。

バイタルエリアで、さんざんパスを回しまくって、何度かタイミングもあったにもかかわらず、シュートを撃たないまま攻撃が完了するわけですから、その気持ちも分からないではないです。

で、実際に、そのコールの直後には鈴木達也選手がミドルシュートを撃って拍手喝采されたりしましたし。

それからは前半終了まで、ミドルシュートの雨霰。徳永選手や件の梶山選手が積極的にゴールを狙います。その中でも特筆すべきは上里選手ですね。他の選手のシュートは、言ってもミドルシュートなわけですよ。それがこの選手については、完全なロングシュート、しかも決まってもおかしくないような質のシュートを放ったんですね。それも二度。移籍1年目の上里選手ですが、これで完全にFC東京サポーターとの名刺交換が済んだといって良いでしょう。

というか、選手達はコールに触発されてシュートへの積極性を持ったのですかね?ならば、サポーターの合唱が及ぼす影響力も、なかなか軽視できないってことになりますが如何なものなんでしょう。

しかし、ミドルシュートの多かったことが、必ずしも良い影響ばかりをFC東京に及ぼしたかというと、微妙なところです。

もともと、PAに飛び込んでいくタイプのFWがいなかった上に、ミドルシュートへの意識が高まったことにより、FC東京のアタッカー陣は、みんな、狙い澄ませてシュートを打てる場所(プレッシャーの緩い位置)で、足元にボールを貰おうとするようになったんですね。

わかりやすく言えば、カラダごとゴールに押し込んでやる、みたいな動きが全くなくなってしまったわけです。だから、ゴール前での迫力が有るんだか無いんだか分からない、なんだか微妙な空気が流れていました。

そんな停滞した空気を打ち破り決勝点をあげたのが羽生選手。羽生選手も中盤の選手ですから、クロスに飛び込むといったゴールではなかったですが、他の選手との決定的な違いは、他の選手が、ほぼ止まった状態でミドルシュートを撃っていたのに対し、羽生選手だけはドリブルでPAに突入しながらシュートを放ったという点です。

つまり、唯一、羽生選手のみが、「このまま転がっていけばカラダごとゴールに飛び込むことになる」というカラダの動かし方をしていたわけですね。

現実的でFC東京(サポ)に必要なものは何か。

それは「(ミドル)シュート撃て」(コール)ではなく、「(カラダごと)ゴールに飛び込め」(コール)なのではないでしょうか。「シュート撃て」コールは、どうしても「ミドルシュート撃て」と伝わって、FC東京の課題を助長してしまうように感じます。