東京Vvs愛媛の周辺を愛媛目線でウロウロと…

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

というわけで、愛媛FC目線から。

愛媛と言えば堅守速攻ですね。愛媛FCをJの舞台に引き上げた望月監督の手腕も、なかなか素晴らしかったですが、現在のバルバリッチ監督も、相当のやり手。

如何せん同時期にポポビッチという名監督がいて、しかも、当時なにかと脚光を浴びていた大分を率いていたこともあり、「そう言えば愛媛の監督も東欧系に代わったね」くらいの注目しか集めてきていませんし、昨シーズンも順位だけみれば下位になるので、やはり、そういう意味でも地味ですが、成績の内容を目を向ければ、12勝12敗12分け。負け越していないわけです。これは、それまでの成績や予算規模を鑑みれば、そうとうゴイスーなことだと思います。

なかでも特筆すべきは失点の少なさですね。つまり、去年の愛媛は、堅守速攻でキッチリ勝ち点を拾っていくという、大型スポンサーを持たないJ2の地方クラブとして、清く正しく美しい戦いをして、「この戦力で、この数字は立派」という結果を残したわけです。これぞJ2のお手本。

で、愛媛みたいな組織的で堅守速攻を得意とするチームって、ヴェルディみたいな攻撃的にパスサッカーを展開するチームとの相性が抜群に良い。

前のエントリーで述べたように、前半のヴェルディバイタルエリアをスカスカにしていました。

そうすると、縦に速い個人技に特徴を持つ愛媛の2トップは、俄然、躍動しはじめます。

第1Rは深津vsジョジマール

先制点の少し前でしたので、前半の15分くらいでしょうか、カウンターからドリブルを仕掛けたジョジマール選手にマンツーマンで対応せざるをえなくなった、ヴェルディCB深津選手がきりきり舞いにされるという場面がありました。

このときは、かなり怪しいもつれ合いをして、ズルい感じのファールをもらって事なきを得ましたが、アップアップ感満載でした。

そして深津選手の相方である土屋選手もピリッとしません。

深津選手がペンペンにされかけた直後、愛媛のFW斎藤選手がドリブルをしかけると、マーカーの土屋選手はズルズルと後退、周りのフォローも遅れて、そのまま斎藤選手のビューティフルゴールを許してしまいます。

深津、土屋コンビが縦突破に弱かったのか、バイタルエリアをスカスカにしたのがいけなかったのか、この後も愛媛攻撃陣のドリブルに手を焼くと、先制点の5分後にはPKを献上して、追加点を許してしまいます。

速攻を愛媛というチーム根付かせたバルバリッチは、さらに試合中の采配にも冴えを見せます。

後半10分にもならない時間帯に、攻撃的MFの小笠原選手に代えて、守備的MFの渡辺選手を投入しました。2点目を取った後に1点返されていて、リードは1点しかない状態でしたので、守備固めに入るには少し早いかなとも感じたのですが、いろんな意味で合理的な選手交代だったと思います。

この試合、愛媛のフォーメーションは442で、Wボランチは越智選手と田森選手でした。そのWボランチが、後半に入って、なんだかワサワサしていたんですね。

ヴェルディの猛攻を前にしてタジタジになってしまったのか、自陣ペナ付近でディフェンダーがクリア仕切れなかったボールが目の前に転がってきたときとか、まぁ足下につかないこと、つかないこと。

「良いから落ち着いて大きく蹴り出せ」って場面で、それができない。スタンドからでも、「やらない」ではなく「できない」だということは明確でした。

そうとう状況ですから、中盤に一枚足すというのは、チームに対して非常に落ち着きを与えました。また、442を433に変えたことで、前線に残されたジョジマール、斎藤、赤井の3選手は、迷いなく個人突破に専念でき、カウンターの脅威は、むしろ高まったのではないでしょうか。

速攻、采配とバルバリッチの良さを見てきましたが、彼の手腕の白眉は組織的な堅守でしょう。

前のエントリーにも書いたように、キックオフとともに、ヴェルディは小気味よいパスサッカーで幾度となく愛媛ゴールに迫りました。

愛媛守備陣は1対1で簡単に交わされたり、パスワークで翻弄されまくったり、局面局面では、負けっぱなしだったと思います。だからヴェルディの攻撃は常にクロスまで至る。そして、それら雨霰のクロスは、そこそこ高精度。

でも、そのクロスに対して、愛媛守備陣は常に数的優位の中で対応できていた。つまり、ドリブルで1人2人と抜かれても、なぜか人数が足りてるんですね。

どういう仕組みで、そんなことが可能になるかは分かりませんが、とにかくバルバリッチは、1対1で負けても対応できるような守備のシステムを作っている。これは、なかなかのものでしょう。バルバリッチが優秀な監督であることは間違いありませんね。

そう考えると、そのうちビッグクラブに引き抜かれるじゃないか、なんて予想もできたりします。ただ、仮に浦和とかピクシーがロンドンに旅立った後の名古屋がバルバリッチを招聘したとして、確実に上手くいくかと問われれば、「上手くいかない可能性もないわけではない」と答えたいと思います。即座に「成功する」とは太鼓判を捺しがたいのですね。

先に述べたように、バルバリッチの守備戦術は、「1対1で負けても対応できる」というものであり、極端な言い方をすれば「1対1で負けること」を前提にした弱者の戦術です。

しかしビッグクラブでは強者の戦術が求めらます。そして、少なくとも日本においてバルバリッチは強者の戦術を披露していません。今と同じような成功を収められるかどうかは未知数と言わざるをえないのですね。

というわけで、堅守速攻と采配からバルバリッチ名将説を唱え、さらに、だからといって強者の戦術に長けているかどうかまでは分からない、というようなことを述べてきました。でもバルバリッチポポビッチ(さらにはオシム)のような東欧系の名将がJのビッグクラブを率いているところを、一度みてみたいですね。