代表vsJリーグ選抜の周辺をウロウロと…

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3月29日に催された日本代表vsJリーグ選抜。改めて、社会的知名度がある人たちがチャリティイベントを行うことの重要性を実感しました。

3・11から20日弱が経って、少しずついわゆる「日常」に戻っていくにしたがい、情けない話ですが、やはりワタクシの震災に対する意識も、当初に比べると低下してしまっていたようです。それが、このような良い意味でショーアップされたチャリティイベントを見ることで、「人間の習性として、どうしても多かれ少なかれ、「過去のものとなる」という現象が発生してしまう。だから、折りにつれて、「意識を入れ直す」という行為を繰り返さなければならないな」なんてことについて思いをめぐらすことができました。

昨今、存在意義を問われているJリーグのオールスターですが、向こう10年くらいは、復興チャリティイベントとして存続させていけば良いのではないか、いっそうのこと、野球もバスケもバレーもラグビーも、プロスポーツは全て、特定の週末に「復興チャリティオールスター」を集中開催して、「復興週間」を社会的に演出できれば最高なのではないか、なんて夢想したり。

サポーターも粋でしたね。

前半後半が始まる前後にはカントリーロードが、試合中にはベガルタの応援歌のメロディが何度も何度も歌われていました。テレビ越しだと歌詞までは明確に聞き取ることはできませんでしたが、「俺たちとともに、レディゴー」ってヤツですね。

両曲とも、Jリーグサポーターなら、一発で「ベガルタ仙台」を連想できる歌ですし、まさに「日本サッカーファミリー」ならではの、熱き被災者支援だったと思います。

さて、試合内容。代表強化の一環とはいえ、集中してジックリと何かを熟成するには、いろいろと難しい状況下、ザックはこの機会をどのよう利用したかと言えば、「343を試す」ということでした。

これは非常に聡明な判断だったと思います。こういう機会ですから、やれることは限られてくる。逆に言えば、何かギャンブル的なこと、いざとなれば「一回やってみましたけど、うまくいきそうにないので撤回します」っていう類の実験的なチャレンジをしても、エクスキューズの許される絶好の機会だったわけです。

さすがは科学を進歩させ、資本主義を成立させた地域からやってきた賢人だけあって、このあたりの思考様式は極めて合理的ですね。

で、ザック流3バックとは、どういうものかと興味津々だったわけですが、思いの外、「古式ゆかしき3バック」でしたね。つまりストッパータイプの間にリベロタイプを置き、柔軟な攻撃参加を促すってパターン。

この試合ではリベロ(っぽいポジション)に今野選手が入りましたが、非常に良かったのではないでしょうか。CBとしての守備力も板に付いてきましたし、もともとが「ガッツリ守備して、勢い余って攻撃もしちゃうぜ!」ってボランチでしたので、適役だったんでしょうね。無論「ふるさとを思って」という想いが後押ししたという要素もあったのかもしれませんが、スムーズな攻撃参加で、直接ボールに絡むことは少なくとも、相手守備陣を混乱させるには十分なアクセントとなっていました。

ただ、だからといってザック流の3バックが今後も使えると判断するのは早計でしょう。いや、別に「悪かった」って言いたいわけではないですよ。今回の試合は度外視すべき、判断材料にすべきではないと思うのです。

今回のJ選抜、チャリティマッチの「役者」としては申し分なかったと思います。被災地を筆頭に日本に元気や勇気を送るという点において、これ以上のチョイスはなかったでしょう。しかし、「日本代表の戦術がチームとして機能するか否かを見極める相手として適切か?」と問われれば、「これ以上ない相手」とは答えづらいのではないでしょうか。

最大の問題点は中盤に潰し屋がいなかったことですね。前半は小笠原選手が、後半は俊輔が、そのポジションに位置していましたが、彼らのプレスを交わしたからといって、国際舞台でも同じように通用するかどうかっていうと少し微妙です。

また、組織vs組織という観点に立ったとき、当たり前のことながら、J選抜は急造チームですから、連携面での未成熟は否めません。

そういう意味では、「どうせコンビネーションで中盤を支配することなんて出来ないのだから、いっそうのこと中盤を省略してしまえ」とばかりに、後半途中でアタッカータイプの選手を大量投入したピクシーの采配は、選出されたプレーヤーの個性のアンバランスを逆手に取った、非常に理に適った采配だと感心しました。

偶々そうなっただけの結果論かもしれませんが、さすがはプロテスタンティズムの倫理を背景に、近代科学主義の精神を熟成させてきた地域出身の妖精さんだけあります(「東欧は宗教改革の影響をあまり受けていない」みたいなツッコミはご容赦下さいませ)。

この試合を見て、もう一つ感じたのが、「やっぱりコンディションって重要だよね」ってことです。

アナウンサーさんの情報で初めて知ったのですが関口選手は避難所で数日間を過ごしたんですね。また小笠原選手がいてもたってもいられなくなって被災地に足を運んだことは多く報道されたところです。こういう、震災をより近い位置で体感した選手たちが万全の体調で試合に臨めるはずもなく、プレーそのものは、去年のJリーグで見せていたほど圧倒的なものではなかったかと思います。

一方、Jリーグ選抜で存在感を示したのはカズと俊輔でした。カズについては、ここのところ横浜FCは「選手の自主性に任せる」的な、ソフトな感じというか、現代的というか、そういう監督さんが多かったのですが、去年からは「熱血岸野塾」に看板を掛け替えました。おそらくフィジカルをきっちり追い込むキャンプを過ごしたものと推測されます。

また、俊輔については、ロクにオフも取らずにムリにムリを重ねて、最終的にコンディションを完全に崩してしまうという最悪のスパイラルに陥った昨シーズンと違って、今年は、ちゃんと「シーズン→体を休める→作り直す」という、アスリートとして正常なサイクルを送っています。去年の46月とは別人のようなパフォーマンスを、今年のJリーグでは披露してくれるのではないかと、希望的観測をしてます。

とにもかくにも、「シーズン→体を休める→作り直す」というサイクルが何よりも大切だと再認識しました。

……さて、ワタクシは何が言いたいのでしょう?

つまり、「南米選手権を欧州組で参加できないか?」って議論がありますが、そんなことしたら、何人もの選手に2010年の俊輔と同じ轍を踏ませることになるのではないかと危惧しているっつうことです。