2010年シーズンを振り返る、スタジアム道中記編国立の周辺をウロウロと…

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日本には各地にクラブがあり、スタジアムがある。そして、スタジアムの周辺には、その土地その土地ならではの生活があり、文化がある。なんて高尚で叙情的な内容は一切含まれておりません。そんなシリーズです。

第5回は聖地・国立を中心とした、この地域(「出没!アド街ック天国」風な始まり方、大江さん大好きです!)。

例年、ナビスコの決勝はテレビ観戦なわけですが、その度に思うのが「『オレオ』とか『リッツ』って最近は食べてないなぁ」ってことです。

普段ワタクシが見ている番組との相性もあるのかもしれませんが、『オレオ』やら『リッツ』やらのコマーシャルって近年メッキリお見かけしなくなったように思います。そういう状況で、あれだけ畳み掛けるようにCMを見せつけられれば、「久々に食べてみてぇ」って気分になるってもんです。

そんなことなので今回、「きっと『オレオ』と『リッツ』が貰えるに違いない」と身勝手な期待と根拠のない自信を持って国立に赴きました。そして実際にモギリをしてもらう流れで、お菓子が詰め合わされた袋を頂戴します。

「出た!『オレオ』&『リッツ』だろう、これは!」

自信は確信に変わり、はちきれんばかりのワクワクを胸に抱えながら、袋の中身を物色します。このトキメキに匹敵するシチュエーションと言えば、文化祭おわりの後夜祭におけるフォークダンスの最中、あと数人で好きな娘と手が繋げるって状況くらいしか思い浮かびません。

しかしですね、袋を開けてみたところって話ですよ。

なんと、袋の中には、『オレオ』のちっちゃい版みたいなのは入っていたんですが、『リッツ』が入ってない。

代わりに入っていたのが『チップスター』。

いやいやいや、と。

チップスター』なら、ときどき食べるぞ、と。

ここは『リッツ』だろう、と。

なんでしょう、このやるせなさ。

目当ての娘の直前でフォークダンスが終わってしまった感じと言いましょうか。悲しみと怒りがこんがらがって、わけのわからない気分になるってもんです。

しかし、一方でその袋は、ワタクシの雪の如き悲しみを癒やしてもくれました。おそらく(株)ヤマザキナビスコ様によるスポンサードの賜物でしょう、豪華なブックレットが入ってたんですね。

このブックレットがなかなか良くできていて、両チームの選手名鑑に加え、勝ち上がりのプレイバックなどもカラー掲載されており、この一冊を読めば、決勝戦を百倍楽しめます仕様に仕上がってました。こういうバブリーな感じも、カップ戦のファイナルこその楽しみ。

もはや『リッツ』の悔恨なんて消え失せていました。

さて、この試合、入場者数は4万人を少し切るくらい。

黎明期に比べると想像できないくらいに動員力のあるイベントに成長したものだと感慨を禁じ得ないところですが、例年よりは若干ながら少なかったのも事実。

ただ、この数字を鵜呑みにしてはいけません。

前売り券の販売状況をチェックされた方なら分かるかと思いますが、このファイナル、指定席券は例年通り売り切れだったんですね。

自由席だけ最後まで「残り僅か!」状態だったんですが、実際には、当日、最も混雑して、ごった返していたのは、その自由席でした。

「いまから自由席をお探しの方は、○○番ゲートからお入りください」なんてアナウンスがありながら、○○番ゲートに行ってみると、「満席」の札がぶら下がっていたり。

ワタクシが陣取ったのはバックスタンドの指定席でしたが、バックスタンドについても、「当然、これくらいの割合でドタキャンする人も出てきますよね」って程度の空席しかありません。

つまり、空席の殆どはメインスタンドだったわけです。勿論、メインスタンドは全て指定席です。そして、しつこいようですが、指定席券は売り切れ。要するに、メインスタンドの指定席券を持ちながら、観戦に来なかった人々が大量にいたということです。

これは、どういうことか。

案ずるに、「スポンサー配布用招待券」ってヤツに違いありません。こういう「スポンサー様に配慮した結果、一番良い席がガラガラになる現象」について、思うところがないわけでもないですが、資本主義社会の原則に照らし合わせた場合、致し方ないでしょう。

勿論、「(株)ヤマザキナビスコ様と同じ金額を出します。そして(株)ヤマザキナビスコ様より遥かに少ない招待券で構いません」なんていうホワイトナイトが出現するに超したことはないですが、なかなかそうもいかないでしょうし。

ここで言いたいのは、「ちゃんと自らお金を出してサッカーを見たい人」のための座席は、例年と全く同様に、ほぼ満席だったってことです。もっと言えば、「言っても当日の国立はメチャクチャ混んでいましたぜっ」ってことであります。

そう状況においては、新たなミッションがワタクシに課せられることになります。すなわち、「如何に混雑に押し潰されることなく、帰宅するか」というミッションです。

ここで、なんちゃって東京人の貧困な発想が頭をよぎります。

「きっと、多くの人は静岡なり広島なりから来たに違いない。ならば、彼らは千駄ヶ谷か国立競技場の駅を使うだろう。ここは地元民ぶって、〈ケケケ、なんちゃって東京人ともなれば外苑前を利用するルートも知ってるんだぜ〉みたいな優越感に浸りながら帰ってやるか」

ということになりました。まぁ赤坂見附で丸の内線に乗り換えたかったので、何にせよ外苑前になるわけですけど。

しかし、ここで想定外の事態が発生します。実は、この日、お隣の神宮球場では早慶戦が行われていたのです。例の、ナビスコの視聴率が3%だったのに対して、12%を叩き出した、伝説の早慶戦ですね。

何の因果か、延長にもつれたことで、その早慶戦と試合終了時間が丸かぶり。ちなみに、神宮球場ユーザーの多くは外苑前駅を使います。もう説明の必要はないですね。混雑緩和を狙って外苑前という浅はかな裏技に走ったワタクシの末路については推して知るべしなのでございます。

「素直に千駄ヶ谷から帰れば良かった」

これがナビスコ決勝におけるワタクシの最大の感想でございます。