ターンオーバーの周辺をウロウロと…天皇杯、大宮vs福岡(11月17日)について

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名古屋の優勝が決まりましたね。個人的には「資金力のあるクラブが札束攻勢で選手を集め好成績を収める」という現象をポジティブに受け止めています。なんだかんだ言って資本主義社会ですからね。上記のような状況こそ、資本主義社会における「通常の状態」なので、それを倫理面から批判することに、あまり生産性を感じなかったりします。

そんなことはさておき系で、再び先週ミッドウィークの大宮vs福岡。Jリーグも佳境に差し掛かり、しかも残留争い真っ最中のチームと昇格争い真っ最中のチームが激突することになった、平日ナイターの天皇杯

当然ながら、両チームともにリーグ戦に集中しなければならない。ということで、当然のようにターンオーバーして臨んでくる。監督がベストと判断したメンバーがベストメンバー。賛否両論あるかと思いますが、一応、理に叶った考え方ですよね。

さて、両チームともターンオーバーをしているという意味では共通していますが、この機会をどのように利用しようとしているかという点で若干の相違があった模様。

まず大宮については、総力戦体制に向けて、ある程度計算できることの分かっている戦力に試運転させるというところに主眼があるように感じました。

もちろん宮崎選手や木原選手など、シーズンを通して余り出番を得られなかった面子が、しっかり自己アピールしたりもしていましたが、それはどちらかと言えば例外だったような気がします。

この試合の主軸を形成していたのは、市川・藤田の2トップや、中盤の渡部選手や橋本選手だったと思います。彼らについては、特にシーズンの前半戦において、少なからずスターティングラインナップに名を連ねた面々です。

だから「二軍」というには気が引けます。むしろ、彼らが久々に出番を得たという事実は、張政権における主力と鈴木政権における主力のギャップを露呈させているように思います。

象徴的なのが杉山選手と安選手ですね。彼らは今シーズン、即戦力として加入した選手です。おそらく張さんの志向するサッカーを実現させるのに必要と判断されて、補強されたのでしょう。

その両選手が、最近のリーグ戦では出番を与えられていない。ここに、今年の(今年も?)大宮の迷走が看取できます。前政権時代の主力が現政権においては、ベンチを温めている。場合によっては、ベンチを温めることさえ出来ていない。

結果として、現在の大宮は、残留争いをしているにもかかわらず、2チーム分の戦力を抱えていることになった。なんという非合理的状況。

ACLに参戦しているクラブが2チーム分の戦力を擁しているならば論理的なのですが、残留争いをしているクラブなわけですから、「だったら年俸が高くとも、より多くの貢献のできるレギュラーを揃えておけよ!」って話になりますよね。非常に非効率的なお金の使い方だと言わざるを得ないところです。

ちなみに、この日の大宮のメンバーで、個人的に最も目を奪われたのが、内田選手です。左SHで出場していた内田選手ですが、ボランチでも活躍できる選手だけあって、少なくとも攻撃時は、かなり内に絞ったポジショニングをしていました。

それがSBの攻め上がりを促すチーム戦術なのか、彼個人のパーソナリティなのかは分かりませんが、ともかくトップ下のような位置にいることが少なくなかった。

まさに、「内田は内だ!」

、、、

ええ、それが言いたかっただけですよ、ええ。

、、、、、、

ふぅ。

一方の福岡については、J2からの昇格争いで3位につけているチーム。比較的、順調に回っているわけですので、今季の残り数節で、ドラスティックにチームを変える必要はない。

基本的には、いまの主力を中心に、残りの試合を戦っていけばいいわけですので、この試合のラインナップは、「昇格のための秘密兵器」であるとか「ここからは総力戦だ!」というより、来季を見据えた選手起用だったかと想定されます。

例えば、この試合の2トップは高橋選手と永里選手でした。高橋選手に関しては、もともとレギュラークラスのFWなので、その起用は自然なものですが、注目すべきは永里選手です。

攻撃的な中盤としてシーズン序盤から大車輪の活躍を続けている永里選手、次のJ2戦は出場停止。したがって永里選手が120分ずっと使われたことに不思議はない。問題は永里選手をいつものMFではなく敢えてFWで使ったのか。

残り数試合のためのオプション作りとも考えられますが、それと同時に、来年の編成を考える上で、最前線としてメドが立つのかどうかを確認するという要素もあったのではないでしょうか。

また、平石選手、山口選手、宮路選手などは、不勉強ゆえに、よく知らない選手なのですが、おそらく、今季、これまで余り出番のなかった若手選手だと思われます。

もともと、ある程度の出番を得ていたバックアッパーではなく、この段階で敢えてデビューに近い若手が起用されているわけですから、果たして篠田監督的に、どこまで切実に「彼らは昇格に不可欠なメンバーだ」と考えているか、少し微妙なところでしょう。

むしろ、(舞台がJ1になるかJ2になるかはともあれ)来季以降、必要となってくる戦力かどうかを見極める機会として活用した可能性が高いように感じました。

もちろん篠田監督が、チーム編成にどこまで影響力を持っているのか、そんなところにまで思慮を加えなければならない立場か否かは存じ上げませんが、少なくとも、この試合で出番を得た選手のパフォーマンスは、アビスパの来季の編成に少なからず影響を与えるのではないでしょうか。