ナビスコ決勝の周辺をウロウロと…、広島編延長戦って怖いっすよね

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珍しくタイムリーな話題で勝負致します。

だって、行ってきたんですもの、聖地・国立へ。観衆が数千人のヴェルディ戦にならば、しばしば国立に行くこともありましたが、満員の国立はガンバが柏を退けた天皇杯以来でございます。

そんな国立で思ったのが、延長戦って怖なぁってことです。

ワタクシ、おっさんですが、あんまり、そっちの方は熱心じゃありません。なので、キャバクラとか風俗とか、そういった方面には、全く縁のない生活を送っています。

要は、そういうタグイの延長戦が怖いと言っているわけではないってことですね。本来なら90分で終わるはずが、なんだかんだで120分やんなきゃいけなくなると、監督さん大変に困ってしまう、という話であります。

一般に広島って3バックってことになってますが、事実上、4バックですよね?

ただ、4バックの作り方が二種類ある。

1つは、おそらくこれが基本形だと思うのですが、攻撃に移ったときに森崎和幸選手が最終ラインに下りてきて、3バックの両端にSB的な攻め上がりを促す、見方によっては2バック的な4バック。

もう1つは、守備のバランスを整えるべく、山岸選手がSBの位置まで下がって、3バックが右にスライドするパターン。

なぜゆえ、こんな複雑なことをするかと言えば、それはもう、攻撃の人数を増やし、かつ流動的にするため、かと思われます。

ただ、そういった流動的な攻撃も、相手の守備陣が一糸乱れぬゾーンディフェンスで対応してきた場合、効果は半減します。この日のジュビロ守備陣のスペース管理は、なかなか見事だったと思います。

その結果、特に2シャドーの高萩・高柳両選手は、遠い側のスタンドにワタクシがいたからかもしれませんが、完全に埋没してしまっているように見受けられました。

そこでペトロビッチ監督は、後半開始から手を打って、山崎選手を投入。その山崎選手が、クレバーなポジショニングで、ジュビロの最終ラインを揺さぶることで、磐田守備陣に隙ができます。山岸選手の見事な勝ち越し弾の前提には、山崎選手の掻き乱し活動があるかと思われます。

勝ち越しに成功したことで、ペトロビッチ監督は次なる選手交代に動きます。森崎浩司選手に代えて青山選手を、ミキッチ選手に代えて横竹選手を、それぞれ投入しました。

完全な守備固めですね。少し、その時間が早いかなってのはありましたが、森崎選手のコンディションもあるでしょうし、まあ、ノックアウト方式における常套手段ですよね。

ただし、ここで思い通りにならないことが、発生します。そうです、人間心理だけは、人間にはコントロールできないのです。なんと奥ゆかしきかな、霊長類ヒト科。

厳しい戦いをしていて、しかも先制されて、ようやく同点、そして勝ち越しに成功したというシチュエーションで、霊長類ヒト科なる動物は、どのような反応を示すか。

もはや多言の必要はないと思いますが、「思いっきり消極的かつ守備的」になるのです。人によっては「気合いが足りない」とか「勝者のメンタリティがどうの」とか言うかもしれませんが、そういう風に神様が作り給うたのだから仕方ない。

そういう中で、低い位置で特徴を示す選手が続けざまに投入された。必然的に、広島の最大の売りである、「人数をかけたアグレッシブな攻撃」は身を潜め、中盤は完全に最終ラインに吸収され、一見すると「361」からは程遠い「703」、場合によっては山崎選手も自陣まで戻った「802」状態になります。

これでは、さしもの李忠成選手といえど、前線でマイボールをキープすることなんて出来ません。

加えて、広島には南米系プレーヤーみたく巧みにマリーシアを使いこなすようなタイプの選手もいません。

要するに、主体的に「時間を殺す」手段を喪失してしまったわけです。こうなると、広島は人海戦術でペナを死守するのが精一杯といった状態になってしまいます。

けれども、この試合、ピッチにストヤノフ選手はいません。槙野選手をはじめ横竹選手や中島選手も決して高さのない選手ではありませんが、磐田の雨霰のごときクロス(+コーナーキック)を跳ね返し続けるのには、必ずしも十分だとは言えない。

結局、広島守備陣は、那須選手の高さと前田選手の嗅覚に屈することとなりました。

同点に追いつかれた以上、広島は再び攻撃に転じなければなりません。

しかし、ペトロビッチ監督は90分で試合を終わらせるための用兵をしました。当然のことです。だから、新たな選手を投入して攻撃力を回復するという選択肢は残されてません。そして守備に忙殺されることで、中盤の多くの選手は運動量を奪われました。

もはや広島には、いったん喪失した推進力を再構築する術がなく、最後まで「703」状態を克服することは叶いませんでした。

一方、途中、リードされていたことにより磐田の柳下監督は、山崎、菅沼という攻撃的に活力を与え続けられる選手を投入していました。

そして、この2人の選手が攻撃をキッチリ牽引し続け、しかもゴールを奪いました。途中投入した選手が勝利を手繰り寄せたわけです。

これが柳下監督のスーパーファインプレーであることに疑いはない。しかし一方で、それはリードされる展開だったからこその采配とも言えます。いや、別に柳下さんをクサす意図は毛頭ありませんよ。ペトロビッチさんに同情したいのですね。

後半早々にリードしたがゆえに90分で勝ちきるためのカードの切り方をせざるをえなかった。その結果、人間心理の機微ってヤツも相俟って悪循環に陥った上に、延長戦対応ができなくなってしまった。まさしく結果論。

これが延長戦の怖さですね。

霊長類ヒト科も深遠ですが、サッカーの延長戦も、それに負けず劣らず深遠なるもののようです。