ヤジの東西差の周辺を、京都vs鹿島(3/14)を素材にウロウロと…

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欲を言えばきりがないですが、トータルで見れば日本代表にとって満足度の高い「だぶりゅーハイ」でしたね。試合直後のインタビューで長谷部選手が「次は、ぜしぜしJリーグを見に来て下さい」と発言していたように、少しでも多くの人がスタンドに駆けつけるようになれば、日本サッカー界の未来にも少しずつ光が差してくるってもんです。

ただし、若干の心配が…。御新規のお客様にはイロイロと予め知っておいていただきたいことがあります。その一つが、スタンドでのヤジですね。いや、ヤジが良いとか悪いとかどうのって話ではないですよ。

先週、先々週と西京極ではサッカーが見づらいみたいなことを述べてきました。とはいえ、そんな西京極からでも、試合は見れるし、あれこれ観察はできるわけで。

まずは鹿島のサッカーについて感想を述べます。

鹿島といえば、「成熟度」ですよね。完成度が高いので、あ・うんの呼吸が成り立ってます。この試合でも、のっけから鹿島らしさが全開でした。

皆さんにとっては、特に鹿島サポにとっては、周知のことなんでしょうが、鹿島の素晴らしさは、スペースに出すパスの多さではないかと感じます。

スペースへのパスが成功するためには、まず出し手がスペースを見つけて、正確にパスを供給しなければなりません。さらにその上で、受け手がそのスペースに走り込まなければならない。要は出し手と受け手が、同時に同じ空間を探し出して、お互いがその空間を利用しようとしなければならないわけですね。

そういう、スペースへのパスがしっかりと通るところが、鹿島の成熟度を物語ってくれているような気がします。カウンターが効率的に機能するのも、同じことで、結局、同じタイミングで複数の選手が同じアイデアを共有しなければならない。

「こういうときは、こうするものだよね」

とか

「こういう状況では、こういうところを突くものだよね」

ってのが、鹿島の選手にはしっかりと浸透していますよね。アントラーズのサッカーを見て感じる小気味の良さはこういうところに由来しているのかな、と感じました。

当然、試合は圧倒的な鹿島ペースで進みます。防戦一方の京都は、こらえきれず先制点を許しました。先制されたら同点を目指さなければならないわけですが、残念ながら、京都に打開できる気配はありません。

そのうち京都のサポーターも少しずつエキサイトしてきて、上品に言えば

「なんとかせぇ!しっかりせんかい!!」

みたいなヤジが目立ちだします。無論、関西のお言葉です。

関西のお言葉のうち、京都のお言葉なのか大阪のお言葉なのか神戸のお言葉なのか、その辺のことはわかりませんが、そんなヤジを飛ばされて黙っている京都サンガFCではありません。柳沢選手を引っ込めて0トップという奇襲しかけると、「なんとかするわ、ぶォくェぇぇ!」とばかりにディエゴ選手が同点弾を叩き込みます。

そうすると、今度は関東のお言葉のヤジが飛び出してきました。と言っても鹿島サポのものではありません。ワタクシはホーム自由席におりました。つまり、関東のお言葉をしゃべる京都サポのヤジなわけです。どんな内容かと申しますと、

「欲をかきすぎるな。引き分け狙いで時間を稼げばいいんだよ。てゆうか、じゃん!」

みたいな感じですね。彼我の実力差を考えた、一理ある内容です。

まあ、内容はどうでも良いのですが、この2パターンのヤジに、ヤジの東西差みたいなものを感じたのが面白かったです。

もちろん、そんなものは東と西に綺麗に分けられるわけがなくて、多分に個人差というか、千差万別なんだとは思いますが、おおざっぱな傾向として、こういうことが言えるんじゃないかと思うことを述べたいと思います。

最初の関西のお言葉のヤジを飛ばしていた人、厳密には人たちって、なかなか不思議なんですね。

「こら、あきまへんなぁ」

みたいなボヤキがあったと思えば、

「くぉら!」

みたいなのもあって、しかも「くぉら!」と言った直後に、連れの人と

カク・テヒとカクテキって、似てるやんなぁ、ワハハハハ!」

みたいな談笑が始まったりします。ヤジってるんだから機嫌が悪いのかなぁと思いきや、そうでもないらしい。しかも、ヤジってる人たちは、完全に周りの反応を伺ってるんですね。たぶん。あわよくば、自分のヤジで周囲から笑いが起きないかと、虎視眈々と狙っている感じ。

要するに、関西のお言葉でヤジる人たち(の多く)にとって、ヤジとは自己完結するものではなく、周りを巻き込んで、コミュニケーションを図るツールのひとつなんだと思うんですね。言うなれば、「ガヤ」或いは「賑やかし」。だから、どことなくユーモアがある。

一方、関東圏でのヤジは少し趣が異なる気がします。クドいようですが、みんながみんなそうだと言いたいわけではないですよ。十人十色ですよ。なんと言うか、関東圏でヤジを飛ばす人がいたら、完全に怒ってることが多いような気がするんです。怒りのバロメーターが、オーバーザリミットになって、思わず厳しい言葉が口をつく、的な。

イライラが募った挙げ句、大声で独り言を叫んでしまっている、みたいな感じなんで、完璧に自己完結しているんですね。一言で言えば、「愚痴」なわけです。だから、周りから聞こえてくると、少し怖かったりすることもあります。

「あの人、怒ってはるなぁ。目を合わしちゃだめよ。」

みたいな気分になったりもするんですね。もちろん、それが悪いってことではないですよ、念のため。当たり前のことながら東と西で優劣があるとも思いませので、その辺りも勘違いしないで下さいね。種類の違いのようなものが感じられて、興味深かったというだけのことです。

以上、鹿島のサッカーは「あ・うん」の呼吸を感じられたという話でした…?