FC東京vs新潟(05/22)の周辺をウロウロと…

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駒沢競技場のピッチには白にオレンジと青が混じったユニフォームを着た老夫婦がいました。

旦那さんは気の優しい職人さんというところでしょうか。労を惜しまず、困っている人を見つけては、すぐに全力疾走で駆けつけます。

そして、持ち前の職人芸を駆使して、困っている人を窮状から救い出すと、向こうがお礼を言い出す前に、別の困った人のもとへと急ぎます。

自分の手柄を誇るようなことはしません。常に日陰から主役たちを見守り、自らは脇役として、主役をサポートする役回りに徹します。

そんな職人気質で、他人のための汗かき役になることも厭わない心優しい旦那には、もっと心の優しい妻がいます。

旦那は引き立て役ながらも、現場には駆けつけて与えられた仕事をこなしていくので、主役程ではないものの、一応のスポットライトは用意されています。

しかし妻は現場にも駆けつけません。かといって仕事をしていないわけではない。旦那が留守の間、ずっと家を守っています。旦那が外で組織のために貢献できるように、背後の憂いをきっちりシャットアウトする。

主役を引き立てる旦那の仕事を、もう一歩引いた位置から支えます。脇のさらに脇という役回りに、文句の一つも言わずに献身します。

それがアルビレックス新潟のWボランチ、本間・小林の関係だとお見受けしました。

アタッカー陣の後ろでボールとマークを散らす本間。

その後ろでしっかりとスペースを埋める小林。

この2人に支えられているのがマルシオ・リシャルデスミシェウでしょう。

ちなみにマルシオ・リシャルデスミシェウの関係は、とんねるずに似ているように思います。

とんねるずで場を仕切っているのは石橋ですよね。より分かりやすい存在感を示すのも石橋。

決定的な仕事をして、新潟というチームに分かりやすく貢献しているのはマルシオ・リシャルデスでしょう。

しかし、石橋は案外、常識人だったりします。そういう意味では対処しやすかったりしますし、「孤軍奮闘も報われず」ということも少なくない。

石橋貴明という人が輝くのは、比較の上では地味に見えて、実は石橋よりも何倍も自由人で、アナーキー木梨憲武という人が脇にいるときですね。

わざと一歩引いた位置で石橋の影に隠れて、やりたい放題するのが木梨で、とんねるずの笑いを担保しているのは、逆に憲武だったりする。

自由極まりないポジショニングを取り、好き放題にボールと戯れることで、アルビレックスの攻撃に厚みをもたらしているのがミシェウかと思われます。

そして貴明と憲武の本人たちが、最も互いの才能を認め合い、それぞれの引き立て方を知悉しているように、マルシオ・リシャルデスミシェウもまた、非常に良好な関係性、距離感を保って新潟の攻撃を牽引していました。

しかし、FC東京も負けじと見事なコンビ芸を披露します。

主演は椋原。通称:椋原君(行論の都合上、勝手に「椋原君」という通称をつけさせて頂きました)。

椋原君はDFの選手です。今季は米本選手が怪我してたり、主力が代表に召集されたりして、イロイロやりくりする中で、右SBとして出番に恵まれていて、この試合でも先発出場していました。

SBですから、スローインも担当しますよね。

この日も椋原君は機会がある度にボールをスローしてインさせていきます。

後半に入ってもそれは変わりません。

ところが後半も半分くらいが過ぎようとした頃、事件が発生します。

スローインをしようとする椋原君のことをみんなが無視するんです。

振り上げた両腕のやり場がなくなった椋原君は、なぜかボールを頭上に構えたまま、トトトっとカラダごと前に歩き出します。ピッチに入ってしまったという意味ではなく、ライン沿いに相手ゴールに近づいていったんですね。

そして一瞬のしきり直しをしてから、再び椋原君は両腕を振り上げます。

でも、誰も相手にしてくれないんです。まるで、クラスでイじメられている引っ込み思案な男の子みたいです。

「やぁめろよぉ、返してくれよ、ぼくんだよぉ」

みたいな。

やり場のない憤りを発散させるべく、椋原君は、またボールを頭上に構えたまま、トトトっとライン沿いを前進します。

さすがに、これには担任の先生(別名:レフリー)も注意します。

踏んだり蹴ったりの椋原君は今にも泣きべそをかきそうです(一部フィクションあり)。

そんな椋原君に、さらに追いうちをかけるような事態が発生します。

10分後くらいに再びスローインの機会がやってきました。椋原君は汚名を返上すべく大ハリキリです。

しかし、そんな椋原君に悲劇が訪れたのです。なんと転校生のリカルジーニョ君が、椋原君にボールを渡さないです。椋原君がラインの外にボールを貰いにいくと、まるでそこに椋原君なんていないかのようにリカルジーニョ君はボールをピッチにスローしてインさせてしまいました。

名誉を挽回するどころか、「もはや、お前は用無し」だとばかりの仕打ちを受けた椋原君の心中を思いはかると、ワタクシの目から涙がとめどなく溢れだしました(一部フィクションあり)。

しかし、まだ椋原君は恵まれています。こんな椋原君とリカルジーニョ君ですが、それはそれでナイスなデコボココンビとも言えますよね。

教室の一番前の席で、デコボココンビの微笑ましいやりとりを傍目に、「いったいボクが2トップとしてコンビを組むのに、最高の相方って誰なんだろう?」とため息をつく男の子がいました。

平山君の試行錯誤はまだまだ続きそうです。