選択肢のあるカウンター!〜横浜FCvs鹿児島(8/24)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

横浜FC、今シーズン後半最大のトピックは、「ホームタウンの誇りのお弁当が、某政治家の不買宣言により、かえって爆売れ!」ではなく、横浜が生んだ天才がユニフォームの色を薄くして港町の丘の上に帰ってきたことですね。彼はずっと三ツ沢愛を公言していて、もとの所属チームは、あまり三ツ沢の丘の上でゲームを開催しなくなっている現状、帰るべきところに帰ってきたような感がなきにしもあらず。彼がトリコロール少年だった頃とは違い、マンションからスタジアムを覗き見する風景は失われましたが。

徳永悠平が長崎に帰ったり、古い事例では元グランパスの福田が愛媛に加入したり、キャリアの晩年に故郷のクラブに里帰り入団するというのは、ときどきある話。鹿児島でいうと遠藤保仁ですよね。このままガンバで綺麗な幕引きを図るのか、それとも下位カテゴリーで故郷に錦を飾るのか。もっとサプライズがあるとすれば大迫! ただ勇也の方は、まだしばらくJ2には来ないでしょうから、あるとすれば希の方ですかね。カテゴリー的には昇格ってことになりますけどね。

 

この日は日中、箱根なんぞへ出掛けておりました。祖父が(当時としては)一世一代の大旅行として両親を連れて行ったと、生前に語っていたのが箱根。18歳からずっと東京に住んでいるのに、箱根を訪れたことは、たぶん、2回かな。もっと箱根のことを知りたくて。どれくらいもっと知りたいかというと、薬師丸ひろ子が1985年7月3日に発売したシングルくらい知りたかった。世代的には小学6年生のときに薬師丸ひろ子の「時代」を聞いて、後に“J-POP”と称されるようになる音楽に思春期の想いをもっていかれた世代だったりします。それが本来は中島みゆきという人の名曲だということはなんとなく当時から耳に入っていましたが、中島みゆきという人の偉大さを思い知るのは、それから数年後の話。「戦わないヤツらが笑うだろ〜」。ともあれ、箱根に行って、両極端を経験してみた。午前は箱根彫刻の森美術館で呆然と歩き疲れてみて、午後は、箱根の旧街道、石畳のところの甘酒茶屋という超々老舗で甘酒を堪能したんだとさ。

 

15時半頃に箱根を出発して、三ツ沢へ。そこで繰り広げられていた両チームのありようは、「横浜FCの好調は、フロックにあらず!」というもの。なんかね、基本、カウンター戦術なんですけど、そのカウンターでの選択肢がなんとも豊富なんですよね。たぶん、常に複数の選択肢を持つよう下平監督が指導しているんだと思われます。言い換えれば、下平さんは視野重視。と、考えるとボランチとして松井が重用されている理由も理解できるわけです。

対する鹿児島は、噂通りのパスサッカー。わかりやすいのは左SB砂森の役割。いわゆる“アラバロール”というほど極端ではないものの、パスの出し手としてボランチのような役割を担う。それから、そういうスタイルとの相性が良いのでしょう、牛ノ濱が躍動してましたね〜。特に最初の15分は。

 

ただ、鹿児島が猛攻を仕掛けた最初の15分を凌ぐと、横浜FCのカウンターが牙を剥きます。ほぼほぼ鹿児島のミスがらみではあったんですけど、鹿児島GKのパスミスから中山の落ち着き払った“ゴールへのパス”で横浜FCが先制すると、追加点も横浜FC。高速カウンターの流れで右サイドクロスからクロスが入ると、真ん中のイバを通り越して、フリーの松尾がジャストミートで合わせて決めきりました。流れるような速攻で3人目の動きが絡んで、やすやすと決めてしまうなんて、どこの強豪なんだ⁈と。

2点リードしたくらいで気を緩める横浜FCではありません。前半のうちに、さらにもう1点。今度はエースのイバです。スローインから自ら作り出したビッグチャンスに、視野広い〜ズの一員たる松尾がリボンを添えたリターンパスをお膳立て。イバは決めるだけ。ほぼワンサイドゲーム。ってところで、前半のうちから鹿児島は動きます。八反田に替えてFC東京の次世代を担う予定の平川を投入し、どうにか形成を整えにかかります。というか、八反田、パスは上手いんだけどなぁ。

 

ともあれ、鹿児島は前半のうちになんとか一矢報いました。ルカオのゴール。ルカオ、なんか良いですね。運河とかある北海道の港町のチーズケーキ屋さんみたいな名前だし、なにより、カラダが大きい。そして、いちいち動きが大げさ。鹿児島にはボランチに入っているニウドという選手も同じく“いちいち大げさ系”なんですけど、このタイプが2人いると、もはやそれだけでエンターテイメント。なんなら栃木にいるヘニキも取ってしまえ!と。

なんて冗談を考えているうちに後半となり、横浜は4点目。松井がクルクルとボールをキープしてから正確な展開。そこから中山が狙い澄ましたスナイパーショットを突き刺します。横浜FCの猛攻は、これでも打ち止めにならず、さらにレアンドロからイバへのホットラインが開通して5点目。その後はニウドが退場になったたりとか、俊輔が投入されたりとか、イバがハットトリックのチャンスを潰し続けたりとかありましたけど、まあ、横浜FCの完勝となりました。

 

リヒトの運命〜東京ヴェルディvs山形(8/18)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

ヴェルディについては今シーズン初観戦。ホワイト時代をまるまるスキップして、知らないうちに監督が永井秀樹に。そうか、永井が監督か。この人、ベテラン扱いされるようになったのが早かったので、「ずっといる感」が異様に強い。そんな永井秀樹には永井篤志という実兄がいて、こちらもJリーグで息の長い活躍をしたことは有名な話で、その永井篤志が最も耀いていたチームこそモンテディオ山形だったりする。そういう意味では永井兄弟ダービーと言えなくもない一戦。

ちなみに永井秀樹氏、ユース監督としては評価が高いようで、ユースから天才肌の10番が次々と昇格していく読売の遺伝子を途絶えさせることなくバトンを繋いできました。で、そんな読売の遺伝子を継承している選手が山形にもいて、それが南秀仁。もっとも永井さんがユースの指揮をとるようになる以前の選手で、同じ選手として現役晩年の永井さんとプレーしていたのではあるまいか。いろいろトラブルの全くない選手ではなかったので、どちらかというと小林祐希とか、この試合でも先発した河野広貴にイメージが近い。

 

ともあれ、そんか因縁も見え隠れする一戦だったわけですが、ピッチに目を移すと、いやあ、ヴェルディというか永井監督は強気ですね〜。内田達哉がCBで、佐藤優平がアンカーですってよ。シミッチとかボランチの選手を隙あらばCB起用したがる風間八宏じゃないんだから。。。というのを差し引いても佐藤優平のアンカーっぷりは素晴らしかった。もはや天職ですね。サイドチェンジのパスの質は言うまでもなく、視野の広さ、それからフリーになる技術、この人はアンカーになるため生まれてきてのではあるまいか。「海賊王にオラはなる!」みたいな太々しさもアンカー向き。

対するモンテディオで目立っていたのはジェフェルソンバイアーノのカウンター。いろいろツッコミどころ満載ではあるのですが、迫力はメッチャ凄いのですよ。メッチャ凄いのは迫力だけで他はツッコミどころしかなかったとしても、迫力は素晴らしかった。

 

試合展開としては、キックオフ直後の10分、山形が魂のフォアプレスでかまします。「このクソ暑いのに!」って思わせるようなフォアプレスを繰り出しヴェルディに陣地を回復させず、イニシアチブを握ってしまおう作戦。とはいえ、しばらくは面食らったヴェルディも少しずつ慣れていくうちにハーフタイムに。後半のヴェルディですが、少なくとも守備時は442になりましたかね。レアンドロと河野の2トップに見える時間帯がチラホラあった。

受ける山形はCFをバイアーノから高木彰人にスイッチします。これをプロ野球のオールドファンに説明するなら、4番バッターを元広島のランスから、元ロッテのサブローにチェンジしたようなイメージ。とはいえ、特に状況に変化はなし。そのままスコアレスドローとなったのですが、老練であり技巧派が揃った山形守備陣(加賀・栗山・熊本・中村・本拓)の円熟味が強く印象付けられる一戦でございました。

 

この試合で目を奪われた選手にヴェルディ20番の山本理仁がいます。「“りひと”って、Z型ファイルとかで有名な文房具メーカーかっ⁈」と思わずツッコまずにはいられない部分もあるのですが、ともあれ、この選手、左利きの右SB起用なのですよ、しかも4バックの。ここ10年、ウイングが逆足であっても驚かなくなった。近年はWBが逆足であることも稀にある。でも4バックのSBが逆足って、ケガ人続出のスクランブルならいざしらず、もうね、永井監督、ティキタカやる気満々ですやん!

でも、同じヴェルディユースの元10番であっても、ひょっとしたら、この山本理仁よりもインサイドで出ていた森田の方が大成するかもしれません。だって、山本理仁は黒髪好青年系で、森田は仮にその辺の大学生ならただのチャラ男っぽい金髪。歴代ヴェルディユース出身者を振り返ると、チャラ男風のが活躍しがち。というよりも、管嶋とか中野雅臣とか、黒髪好青年系は、なかなかトップチームでチャンスを生かせなかった選手が多い。果たして山本理仁の運命はいかに⁇

 

帰りに晩酌。最近ハマっている「中華食堂 一番館」という激安中華屋さんに行こうとしたのです。先日、渋谷の店に行ったところ、とにかく安い。樽生発泡酒が200円で、ハイボールはなんと100円です。なので、今回は通勤定期で途中下車できる目黒店に行ってみた。行ってみたところ、ちょうど閉店時間を迎えたところだった。。。ガックシですよ。しかたないので類似の店を探す。まあ、王将か日高屋になるわけで。で、Googleマップ先生にご教示いただいたのは、御諸賢ご存知の日高屋さん。

もちろん樽生発泡酒はないのて、生中になって、生中の値段なら一番館と変わらない(290円)。でも、ハイボールの値段が違うのですよ。日高屋さんはハイボールも280円とかするのですよ。普通に考えりゃ安いはずなんですけど、「ハイボールって100円でしょ⁈」って頭になってるから、不当に暴利を貪られているような気分になる。そんな理不尽に負けてたまるか‼ 崎陽軒シウマイ弁当不買運動も辞さない覚悟でホッピーセットを頼んだとさ。

 

柏好文と3バック〜FC東京vs広島(8/17)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は味スタ。東京と広島のマッチアップ、誰がなんといおうと城福浩ダービーですよ、そりゃもう。城福さんって、少し不思議なところがあって、なんとなく「FC東京の監督」って印象が強烈なんですけど、城福さん個人の因縁をさておけば、だからといってそれに付随した選手移動が多くあるわけではなく、監督の因縁がクラブ全体の因縁にならない。むしろ広島と因縁深いのはペトロビッチ繋がりでの浦和だったりする。

で、ペトロビッチ繋がりみたいな城福繋がりの相手は、FC東京ではなく甲府であって、FC東京にも広島にも、さほど「元広島」とか「元FC東京」って多くないですよね。高萩がいますけど、彼は韓国経由ですし、森重とか稲垣なんかは、育成年代をカウントすれば、関わりがないわけでもないんでしょうけど、ライトなもの。まぁ、城福浩個人に注目したいと思います。

 

なんてことを考えながら新宿駅京王線に乗り込む。なんだか、ここ数年で京王線の運行体系が随分と変わりましたね。ワタクシは1995年から2008年(だったと思う)まで京王線沿線に住んでいたのですが、1995年頃は京王本線相模原線に特急、京王本線に急行と快速があって、相模原線は特急と各停のイメージしかない(よく覚えてない)。で、やたらと急行が相模原線に目立つようになったり、それから、準特急ってのができたのですね。ワタクシ個人に関わる範囲でいうと、特急と準特急の違いは分倍河原に止まるか止まらないかの違いだけだったはず。

それが、いまの準特急って、笹塚やら千歳烏山にまで止まるんですね。そんなん、ほぼ急行やん。でも急行は急行で仙川とかに止まるようになった。じゃあ快速はというと、これは昔と変わらないのかな。京王線沿線に住んでた末期は三軒茶屋で仕事をしていて、自宅のあった聖蹟桜ヶ丘に帰る際に世田谷線を使っていたので、下高井戸に止まる快速をよく利用していた記憶があります。ともあれ、準特急と特急がここまで違うようになると、おいそれと「10分に1本は特急か準特急に来る」って把握の仕方だけでは済まなくなりますね(所要時間が4分ほど異なるらしい)。

 

とにもかくにも、試合開始。FC東京は、いつものケンタスタイル。とりあえず前線の個をゴリゴリに生かして、アタッカー(この場合ツートップの2人)だけでシュートを撃つまで持っていけ!そして中盤の選手は常に守備のツーブロックを意識しながら、ネガティブトランジションではガツンと削りにいけ! っていうサッカー。例えるなら、ブンデスリーガの中位によくあるスタイルですね。

対する広島はポゼッションスタイル。いつもこれくらいショートパスを繋いでいるのかどうかはわかりませんが、この灼熱地獄、しかも構えて守るFC東京が相手なんで、ボールが持てる。特に5枚いる中盤では枚数で優位に立てる分、ひとり遊びのできる両ワイドを巧みに絡ませてパスを回していましたね。それができる前提としてシャドーとボランチがボールを失わない、というのもあったかと思います。

 

展開は典型的なパターン。広島がボールを繋ぎ倒すのですが、カウンター主義のFC東京の方がエリア内に迫力を持って飛び込んでいく回数が多い、みたいな。FC東京はハーフラインより高い位置では奪いにいかないし、リトリートしたらバイタルで持たせるのもO.K.って雰囲気なんで、まあ、支配率なら広島が優位。前半でもう一つ特筆しておくなら、少し審判のジャッジがナーバスだったかもしれませんね。特にFC東京にフラストレーションが溜まる感じでありました。

後半に入ってもしばらくは同じ構図で進む。そして、真夏の消耗戦という雰囲気が、よりいっそう濃厚になる。そんななか、一人だけ真夏の消耗戦モードじゃない選手がいて、その選手が後半の主役になります。それが柏好文。必殺のカットインから決勝ゴールを決めただけでなく、試合最終盤になっても、カウンターのチャンスで単騎ドリブルを発動させて相手エリア内まで陣地回復するなど、驚異的な運動量でした。おみそれしました。広島が勝ちました。

 

さて、先にもふれたのですが、ケンタスタイルはどこかブンデス中位のチームのサッカーを彷彿とさせる。興味深いのがブンデスの場合、「ロングキックをベースに、少しでも少ない手数、少ない人数でシュートまで持っていくのが正義!」ってチームは3バックを採用することが多い。それに対して、Jリーグは真逆だったりしますよね。

トルシエ時代の3バックから半周回って日本に定着したミシャ-森保流3バックのミソは2シャドーが守備ではサイドハーフになるところ(WBも割り切って5バック化する)。一方、攻撃ではバイタル中央でのパス崩しの主役になるわけですので、2シャドーに求められるのは技術・勤勉さ・走力(マラソン的能力)の3点となる。……ね、日本人の特性を最も生かせるスタイルでしょ。しかも、『キャプテン翼』の影響が今なお残っているのかどうか、日本サッカー界の育成年代では、やっぱり「スター=中盤のアタッカー」なわけで、2シャドーをミソとする3バックなるガラパゴス化は日本文化の必然だったと言えるのかもしれません。

 

ジャイアントキリングであって、ジャイアントキリングにあらず〜G大阪vs法政大学(8/14)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

いや、ですね、この試合のチケットを買おうと、一般発売日当日か、その数日後くらいにJリーグチケットを覗いてみたら、その時点で売り切れだったのですよ。慌てて、ローソンチケットとか、他の窓口を探ってみたところ、セブンチケットでは購入できた。「うん? 天皇杯は独占販売とまではいかないまでも、セブンチケットの割当が多いのか?」とか考えたのですが、最終的に「チケットは完売しました。当日券の販売はありません」とアナウンスされたので、チケットが大量に売れたっつう話。

「じゃあ、誰が買うんだ? 川崎が等々力でやっても一万人いくかいかないかだったぞ」ということになり、「はは〜ん、法政大学が同窓会やらOB会やらの鉄の結束で買い占めたのか?」と想像してもみた。いや、違った。シンプルにガンバサポが、我が心のマイホームスタジアムこと‘hills of west’をジャックしてしまったということでございました。

 

それにしても、なんであんなに大挙して訪れたんだ? 2回戦でカマタマーレ相手にホームで戦ったときの観客は3500人。パナスタで3500人。じゃあ、アウェイで、かつ、相手は大学生なんだから、法政サポ含めて、せいぜい2000人くらいのものではないのか? やっぱりお盆だから? ガチ平日でなく、夏休みの、しかもお盆だと、こういうことになるのか?

それとも、この1ヶ月のチーム状況の進捗を鑑みて、「天皇杯が最も現実的に狙えるタイトル」という意識が急速にサポーターの間で共有されるようになったっていうこと?確かにリーグで優勝したり、ACL圏内を狙うには、何らかの‘覚醒’が発生しないと厳しいかもしれない。でもルヴァンは残ってますよね。つてことは、「オレたちには天皇杯しかない!」という状況ではない。……結局、「お盆スゲぇ!」、ないし、「西が丘、公称に比べて実体的な収容力はメッチャ少ないぞ!(有名な話)」ということなのでしょう。

 

この試合の目玉はFW遠藤だったでしょうか。スタメン表を見たときは遠藤インサイドで鈴木が左、福田が前線かと予想したのですが、鈴木インサイド、福田左の遠藤前線でした。で、遠藤がFWなのだから、エセ9番なフリーマン的になるのかと思いきや、わりとポジション遵守傾向にありましたね。ときどき低い位置まで降りていきましたが、基本的に相手最終ラインとセントラルで駆け引きする当番。せっかくの遠藤、なんだかもったいないなあ、という印象を否めない。

対する法政大学は武骨なカウンターを繰り出しまくりです。天皇杯でカテゴリーの違うチームが対決したときの、格下の側がよくやる、いつものパターンのカウンターサッカー。少ない手数で迷うことなくシュートを打っていく、みたいな。それから、これも格下の側の常道なのですが、守備とかトランジションとかが、とにかくハイインテンシティ。法政の場合、運動量が凄いというより、強度やカラダを張るとか、そういうところでガンバの華麗なテクニックに対抗しておりました。

 

で、そんな愚直さが天に届いたのか、法政大学が先制してしまいます。ガンバのハーフコート状態だったのは間違いないのですが、法政の6番のミドルシュートが突き刺さってしまったのです。迷うことなくシンプルにやると、こういうご褒美がありがち。リードされたG大阪は、総攻撃状態を法政に浴びせかけなければならないのですが、どうにも歯車が噛み合わない。歯車が噛み合わないというよりも、そもそも論としてG大阪の攻撃力を法政の守備力を上回ったという印象の前半戦でございました。

後半に入ると、G大阪は遠藤をアンカーに配置転換して構成力を高めようとします。したんだと思います。けれども、全く効果なし。キムヨングォンのところでしかボールを持てず、手を替え品を替え、宇佐美やら倉田やらアデミウソンやらを投入しても、結局は、キムヨングォンがパスの出しどころを探しノッキングするを繰り返すだけ。法政に決定的な2点目を許すと、ほぼ何も抵抗できないまま、シンプルな「実力負け」を喫してしまいました。

 

そんなわけで法政大学がG大阪を下した1戦となりました。この試合はもはやそういう感じでもなかったですが、一般的にこういうのを“大番狂わせ”とか“大金星”とか“ジャイアントキリング”とか言いますよね。台風の目になりつつある法政大学を見ていたら、「ひょっとして大学って、ジャイアントキリング向き?」とか思ったりしました。というのも、大学の体育会って、要するに軍隊的なわけですよ。儒教社会の論理を極言にまで純粋化した年功序列社会。

で、軍隊的であるから、とりあえずフィジカルは鍛えられているのですよ。大学サッカー部の連中って、場合によっちゃプロよりゴツい。だからインテンシティで引けをとらないし、軍隊的であるから、「何も考えず、とにかく突っ込んでこい!」ってのを抵抗なく遂行できる。ジャイアントキリングを起こすのは、いわば鉄砲玉集団による“一兵卒サッカー”であることが多く、その“一兵卒サッカー”と大学の体育会って、とても相性が良いのかもしれない、なんてことを考えさせられた西が丘の熱帯夜でございました。

 

露呈!〜岐阜vs福岡(8/11)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

実家への帰省ついでに、この日は長良川。岐阜と福岡の試合ですが、この両チームといえば、ズバリ、キーパーがヨーロッパ人。福岡はスペイン人のセランテスで、岐阜はドイツ人のジーバース!……ではなくってですね、6ポイントマッチですよ、6ポイントマッチ。勝ち点20で最下位の岐阜と、勝ち点24で19位の福岡。しかも岐阜が1試合消化が少ない状況なんで、わかりやすい裏天王山状態です。

両チームとも低迷しまくりだったので、ともにシーズン途中に監督交代。岐阜は実績十分の北野が大木さんのバトンを受け取り、福岡はコーチから久藤さんが昇格。とはいえ北野さんと久藤さんには、あまり共通点を感じない。というより、久藤さんとカブるのは磐田の鈴木秀人新監督ですよね。どちらも全盛期ジュビロのOBで、シーズン途中にコーチから監督へと昇格、しかもそれがトップチームの監督としては初就任ときたものだ。ついでにいえば、なかなかチームをV字回復させられていないところまで共通している。北野さんは着実にチームを上向かせている印象があります。

 

なんかね、スタジアムから川を隔てた「ナガラガワフレーバー」ってところを覗いてみてんですよ。じゃあ、オシャレカフェとかオシャレスイーツとかの吹き溜まり。どうせ、みんなタピオカってるんでしょうね!みたいな。別にオシャレカフェでもビールがあれば入ったんですが、コーヒーとかしかなかったので、ビールの口になるだけなって飲めないまま、スタジアムへ徒歩移動。物乞いのようなテンションでスタグル屋台村へ転がり込み、珍しくハイネケン樽生の店があったんで、そこで生ビール購入。そしたらですよ、この試合のイベント的なことで、生ビール購入者には、ソーセージ工房のそれ用ソーセージが無料配布されるときたもんだ。当然、列ができてる。ワタクシも並びます。もちろん並んでいる間にビールは飲みきる。そのタイミングで焼きたてソーセージが配布される。そうするとビールが欲しくなるので、また生ビールを購入する。そうすると、再びソーセージ券がもらえる。だから行列に並ぶ。並んでいる間にビールは飲みきる……(以下略)。

 

無限ループのしがらみを断ち切ったところでキックオフ。岐阜のサッカーについて観察してみる。観察しようとしてみる。じっと視線を送ってみる。……サッパリわからん。だって、この試合はバックスタンドで観戦してみた結果、思いっきり逆光なんですもん。あんな直射日光のなか、どんなサッカーをやってるかなんて判断できるわけもなく。とりあえず、水を撒きすぎてパスが繋がらないというあるある的な自爆現象が発生していたことは理解できた。

対する福岡は、なんと言ってもダブルボランチ鈴木淳加藤大ですよ。福岡のバンディエラと新潟の元レジェンド候補。この2人が中盤を組めば そりゃ、J2だったら、監督の手腕とは無関係に中盤は機能するわけですが、2人とも、他サポは相応にリスペクトしているにもかかわらず、自サポ(ドメサカブログとかでエンブレムを表記させて「我こそはサポーターの総意にあらせられるぞよ」って発言をする人)からは文句を言われがち。そんなダブルボランチアビスパ福岡でございます。

 

展開は、まあ、五分五分でしたかね。アビスパサポーターが「おいさ〜」って連呼するほど圧倒していたわけではないです。ただ、アビスパサポーターが「おいさ〜」なシチュエーションを適切に見つけ出していた、それだけサッカーを見る目が肥えているというだけで。でも、結果、先制してのは福岡ですからね。ディフレクションも実力の内。負けられない福岡が先制しました。

後半に入ると、個人的な期待としては「前田遼一が出てきて岐阜が押せ押せになるのかな」とかワクワクしてみたのですが、北野さんはディフェンダーとかボランチを入れ替えて、なかなか前田を出さない。逆に久藤さんは‘おーまいじょーご’を投入し、そして、その‘おーまいじょーご’がダメ押しゴールを決めて勝負あり。岐阜としては‘生々しい相手’と、ガップリよつに組んだ結果、いろいろと課題が露呈することとなりました。

 

前半にも述べたように、この日は岐阜城とか、あのエリアから徒歩で橋を渡ってスタジアムに入りました。そうしたところ、ビジター入口に遭遇。そこから「バックスタンドの入口はどこかしら?」と探した結果、そもそもアウェイゴール裏入口以外には中央ゲートしか存在しないという事実が判明。一回スタジアムを半周してメインスタンドにある入口に着き、そこから、スタジアムをもう半周してバックスタンド席にたどり着く、みたいな。うっかりスタジアムを丸1周してしまったよ。

1周しながらピッチを眺めつつ思ったのですが、長良川競技場って、陸上トラック付きの割には見やすいですよね。それから、もし座席を増設しなければならないとなっても、簡単にできそう。だって、両ゴール裏とか、バックスタンドの一部とか、いまだに芝生席なんですもん。東海圏の太平洋ベルトですから、それなりに都会なはずなんですけど、平野部の余裕なのか、平地に見えて実は湿地で開拓困難地が多かったというか、これだけ立派な施設を山の中ではないところに、しかも無理矢理感なく擁している、トヨタおこぼれ地域、恐るべし!

 

良かったり、良くなかったり〜清水vs松本(8/10)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

清水と松本って、「なんかキャラがかぶるなぁ」と感じていたのですが、キャラかぶりの背景がわかりました。松本空港と富士山空港ですよ。どちらも、「確かに地元の人が飛行機に乗ろうとしたら、無いと不便なんだろうけど、どこまで需要があるんだ?」ってところが似ている。その微妙な感じというのは、東京と名古屋の中間点だからこそ発生する微妙さ。ドラマ「白線流し」の最終話で、群像のそれぞれが東京へ、名古屋へと旅立って行った、あのイメージですね。

東京に住んでいると、ついついJRの論理が身に付いてしまうので、信州は関東圏感が強くて、静岡は東海圏色が濃い。ただ、静岡といっても伊豆はもはや関東。だけど、ここに「武田信玄」という要素を1枚噛ませると、途端に完全同一キャラになって、戦国時代は山梨県の属国ですよね。これを言えば一発で世代がバレますが、ワタクシが生まれて初めてしっかりと通して見た大河ドラマ中井貴一の「武田信玄」でございました。今宵はここまでに致しとうござりまする。

 

せっかく清水を訪ねたのだからと、この日は三保の松原まで足を延ばしてみました。すったもんだあって、どうにかこうにか世界遺産にねじ込んだ三保の松原です。戦後の日本って外交下手というかロビー活動とかができない国だったんですけど、三保の松原世界遺産にねじ込んだあたりから、そのあたりは諸外国並みになりましたね。

ただ、この日はあいにく富士山が失踪中で行方不明でした。どこの警察署に捜索願いを出せば良いんですかね? というか、富士山のヤツ、あれだけでっかい図体をしているくせにシャイ過ぎません? 明るい時間に新幹線に乗ったとしても、見えたことより見えなかったことの方が多い気がする。もう少しサービス精神を持っても良いような。昔、王貞治は「自分は消化試合であったとしても、絶対に手抜きはしない。なぜならば、こっちにとっては消化試合でも、スタンドには、もしかしたら、この試合がその人にとって最初で最後のプロ野球観戦になるって観客がいるかもしれない。そう考えると手抜きなんてできるわけがない」と答えたそうな。富士山にも王さんの爪の垢を煎じて飲ませたいところです。

 

ともあれ試合です。清水は北川の抜けた穴をどうするか、が少し不安視されていたのですが、杞憂だった模様。しょんないのダンナこと河井がトップ下にスポッと収まってます。“トップ下”と聞くと礒貝(元ガンバ)や大野(元レイソル)みたいな王様ファンタジスタを思い浮かべるのですが、河井は違いますね。要するにリンクマン。プロ野球でたとえるなら、30年前の巨人での岡崎郁や、20年前のロッテでのサブローみたいな、繋ぎの4番がときどきあらわれますよね、河井もそんなイメージです。

アウェイの松本は順位のわりには、内容は相当に良いサッカーをしてます。堂々と正面から渡り合ってます。特に目をひいたのが前線での守備。いわゆる“ハイプレス”と違って、陣地回復したあとは相手にクリアさせずにコーナーキック蟻地獄に引き込むような、そういう守備が素晴らしかったです。ついでにセルジーニョの技術も素晴らしかったです。

 

ただ、素晴らしくないものもあって、それはGK守田のキャッチング。コーナーキックを思いっきりポロリしてドウグラスの先制ゴールを献上してしまいました。「お前は80年代に大磯ロングビーチでやっていた女だらけの水泳大会か‼」とツッコまずにはいられない。そんな前半の戦いでございました。ちなみに、先制ゴールの後も基本的にはイーブンの応酬だったかと思われます。

後半に入ると松本は宮阪を投入してポゼッションを高めます。が、かえってこれが清水の試合運びを容易にしたかもしれません。45分間(+7分)を通じて清水がゲームをコントロールできていたと思います。ある程度、松本にボールを持たせながら、ドウグラスを中心としたカウンターを繰り出しつつ、危なげなく試合をクロージングさせた清水の完勝となりました。

 

試合を通じて印象に残った選手は2人。どちらも清水ですが、1人はヘナト・アウグスト。この選手は良いですね〜。まず、フィジカルが安定している。それから読みが良い。とても良い。なので、あらゆるプレーが 淀みないのです。どこにでも顔を出しますし、1対1でやられるそとはない、というか、そもそも1対1になったときにはすでに有利な状況を作り出している、みたいな。いかにも鹿島が好きそうな“王国のボランチ”。清水的には流失を全力で予防しなければならないでしょう。

逆に「あれ⁈ もっと魅力的な選手じゃなかったっけ?」との印象を拭えなかったのが金子。なんというか、突貫不足なんですよ。この選手を初めて見たのは、栃木にレンタルされていたとき。そのときの印象が鮮烈で、ガムシャラというか、突貫小僧というか。きっと、「この選手は関口訓充みたいなキャリアを重ねていくのかな?」とか思っていたのですよ。それなりに円熟味を増して、プレーの幅が広がっても、本質の部分はギラギラ全開の突貫小僧、みたいな。金子には、もっともっと猪突猛進して欲しいなぁ。

 

だから、暑すぎるってば〜FC東京U23vs鳥取(8/4)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

日曜日は、ワタクシ心のホームスタジアムこと西が丘。アウェイチームとして乗り込んできたのはガイナーレ鳥取です。去年は森岡さんが率いていたのですが失脚して今年は高木理己体制。なんとも懐かしい‘高木理己’。森岡さんも、一見、クレバーなのですが、まあ、正直、結果論的に述べれば失敗しがちなパターンですよね。反町さんとかがナチュラルボーンなインテリなのに対して、森岡さんには清水宏保とか須藤元気みたいな、後付けというか、付け焼き刃的なインテリ臭を感じる。BSとかの解説を聞いていると、さほど中味のない内容を延々と喋っていて、とにかく話が長い。要点を押さえて話すのではなく、自分の頭の中味を説明文的に順番にダラダラ話しつづける感じで、「こっちはサッカーが見たいのであって、あなたのウンチク自慢を聞きたいわけではない!」ってなっちゃう。

 

この日の午前中は久々に浅草に出かけてみた。すっかりインバウンドが増えましたねえ。昨今の緊迫する外交関係の影響を受けない国々の方々が多く訪ねております。もちろん日本人も多い。いつの間に、あそこの通りには‘ホッピー通り’という名前が付いていたんだ?いわゆる六区ブロードウェイを闊歩してみたら、伝説のお店こと「捕鯨船」を発見したり、なんやかんやしつつも、雑踏に疲れたので、田原町駅やら合羽橋やら、そっち方面に遁避してご飯やさんを見つける。「餃子会館 浅草店」。餃子ですから無条件に美味しいわけですよ。加えて、いかにも‘おかあさん’みたいな女将の接客に安心感が溢れていて、居心地が良かったっす。その前日に行った店では、一見した風体だけで判断すると「歌舞伎町の用心棒」みたいな店長らしき兄ちゃんがドスを利かせた接客をしていておっかなかったので、余計に気持ちよかったです。

ちなみに、そのあとは、せっかく銀座線なので銀座で途中下車して、Ginza Sony Park内にある「BEER TO GO」にも立ち寄りましたよ。要するに代官山にある「SPRING VALLEY BREWERY」と同じなんですけどね。歴代ウォークマンが展示されているので、“(あの頃=90年代)ソニーだった人々”に囲まれてしまったよ。

 

そんなこんなで、西が丘に到着してのは16時過ぎ。……暑いよ。というか、暑すぎるよ、ムリムリ。灼熱地獄だし、いつも通りバックスタンドに陣取ったがために、親の敵のような攻撃力で逆光が攻め寄せてくるし。ついでに言えば、熱中症対策のためにローソンストアで買ったスポーツドリンクの糖分に胃がビックリしてしまったし。プレーヤーも集中力を維持するのが大変でしょうが、ここまで厳しい環境だと、オーディエンスはオーディエンスで集中力が保てねー!

そんな環境のもと、鳥取はどこか「いつも通りにプレーしよう!」って感じで、FC東京U23は「割り切りましょ。。。」って感じでサッカーをしていたような印象。ブラジル人は暑さに強いのか、アルトゥール・シルバだけが動きにキレを見せていた、みたいな。

 

展開としては、前半のうちにFC東京U23が原大智の2ゴールで先手を打ちます。1点目はPKをしっかりと決めたもの。2点目は、カウンターのチャンスで相手のファールに妨げられながらも、主審がアドバンテージをとって、その流れで抜け出して決めたゴール。対する鳥取もキックオフ30分過ぎから風が吹き始めて気温が下がってきた影響もあるのか、徐々にペースを奪い返し、連動性あるパスワークから混戦となったゴール前に突っ込んでいった可児のゴールで1点差に追い上げると、後半、勢いのままに鳥取が追いつきました。三沢がスルーパスを出して、右サイドを魚里が激走して突破しきってからのクロス。ニアに突っ込んだ林がヒールで小憎く押し込みました。グッドプレーが3つ続くとゴールになるというのがワタクシの持論なのですが、まさにそのようなかたちとなりました。ここからは、いかにも夏場の消耗戦。夏休みシーズンの試合はクオリティが下がるから試合をすべきでないとか、夏休みだしとか、賛否両論ありますが、それも含めてJリーグ。夏の風物詩ですな。ドロー決着となりました。

 

ところで、来シーズンいっぱいでU23は終了するんですって? ある種の“ガチャ感”のあるU23には様々な意見があるのでしょうが、ワタクシ個人としては危機です。というのも、FC東京U23がなるなくると、J3を見る困難さが桁違いに跳ね上がるのです。ただでさえ、南関東には3チームがあるだけ。FC東京U23がなくなれば、相模原とYS横浜の2チームだけになる。年間スケジュールの組み立てが困難極まりなくなるって話です。

なぜ廃止なんですかね。例えば、当面はU23要員としてお試し期間的に契約した選手たちって大学に通っていたりするのだろうか。実質的な単位取得は厳しいとしても籍だけはもっていたりするとすれば、自宅近くに大学がある地域、すなわち東京と大阪を中心とした大都市圏に限られ、そうなると大都市有利の不平等感を地方のクラブは抱くかもしれない。そんな要素も廃止の背景にはあったりするのだろうか⁇

 

解決の糸口となんの解決にもならなかったこと〜FC東京vsC大阪(8/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

FC東京が、ヴェルディのことを強く意識していることは周知の事実(だと思う)。実はトップチームの選手やフロントには、もはやライバル意識は薄れているのかもしれませんが、ユース年代なんかには、やっぱり互いを意識する感情というのはあるのでしょうし、何よりサポーターに、そこの意識がは強く残っている。

面白いのは、現在のトップチームの立ち位置を考えると、もはやFC東京サポーターは「歯牙にもかけない」というスタンスで良くって、ヴェルディサポーターの方が粘着的になっていてもおかしくなさそうなのに、なぜか、FC東京サポーターの方に、「いつまでも、ここのライバル関係は尊重していくぜ!」っていう気概を感じるところ。近年は、なかなかトップチームのダービーは実現してませんが、この試合に関しては、“ロティーナ”を1枚噛ませることで、代理ダービーみたいなことになりましたね。

 

というわけで、キックオフ。まずホームのFC東京をチェックしてみると、高萩ですね。どうも今シーズンはこれまでのシーズンほど絶対の存在ではなくなっている模様。どのあたりに長谷川監督は不満を抱いているのだろうかと眺めていると、確かに「だがMPが足りない!」ってシーンが散見されるなぁ、というのはある。広島生まれファンタジスタ育ちにとってMPが足りないのは致命的。年齢的な部分と関わるとするならば、ドラクエとは違ってMPはHPの衰えの影響をモロにかぶるってことなのか?

対するC大阪ボランチは藤田。前線に柿谷ではなく奧埜を据えているようにロティーナさんはスーパープレーのできる選手よりも、その時々で最適切なプレー判断ができる選手を重視する傾向にある。そういう評価基準だと、藤田、輝きますね〜! 5年前くらいは、遠藤保仁の後継者としてブルーのユニフォームで活躍することさえワタクシ的には期待していた選手。三ノ宮近辺の伏魔殿ともいえるクラブに移籍し、高額年俸と引き換えに冷飯を味わい続けてきましたが、ここにきて、プレースタイルとの相性が抜群な指導者と巡り合えましたね。

 

さて、試合展開ですが、前半は基本的にC大阪がポゼッションで圧倒しましたね。ロティーナ流ポジショナルサッカー全開。でも、そこは首位を走るホームチーム。何度か決定機を許しながらも徐々に順応していき、「C大阪が攻め込みながらもシュートは打てない」そんな展開でハーフタイムを迎えました。

後半になると、がぜん、FC東京が牙を剥く。ハーフタイムもあけて数分で永井がゴーゴーなヘディングシュートを決めて先制する。追う立場になったセレッソは柿谷やソウザという、戦術的というよりも一芸の必殺技を備えた飛び道具を次々に投入。FC東京もウェルカムバックな三田たまをピッチに送り込むと、そのたま三田のプレースキックに森重が合わせて追加点。終了間際にはジャエルとディエゴが翼と岬ばりのコンビプレーを見せつけてダメ押し。首位のチームが貫禄を示しました。

 

というわけで結果的には一方的なスコアになった一戦でしたが、プレー内容的には見応えがありました。ともに442でありながら、内実は少し違って、FC東京がオールドファッションドな442だったのに対し、セレッソは“ポジショナル”とか“5レーン”とか称される、今風のスタイリッシュな442。このサッカーのミソは日本人の骨格によるキック力でもサイドチェンジがバシバシ出せるってところにあるかな、なんて思ったりします。やっぱりJリーグと欧州リーグの差って、サイドチェンジに代表されるミドルレンジのパスの部分だと思いまして、で、だとしたら、それは骨格とかそういう部分に規定される。となれば、それでも大丈夫なパスレンジでサイドチェンジできるようなポジショニングをすれば良い。いわゆる“ポジショナルサッカー”ってのは、そういう意味では、日本人が世界と戦っていく上で、重要なヒントが含まれているのかな、なんて考えるわけです。ポイントは、そのために必要なのは“技術”ではなく、“サッカー脳”だというところ。そこが風間さんとかのスタイルとは決定的に違うし、現在進行形では、ワタクシとしては、“風間的技術サッカー”よりも、“ポジショナルサッカー”にワクワクを感じております。

 

この日は試合後にご飯だけ食べて帰ろうと、乗換ついでに新宿で下車し、「飲食笑商何屋 ねこ膳」という24時間やっている定食屋に立ち寄ってみた。新宿で下車したわけではあるのですが、お店があるのは、厳密には新宿三丁目。そこで悩みが発生するのです。わざわざ一駅分の運賃をメトロなり都営なりに払うのか、それとも新宿駅から歩くのか、と。土曜の夜の新宿の雑踏をすり抜けるのも、まあまあ難儀ですからね。それで、知らない間に準特急とかが笹塚に止まるようになっていることだし、そこで新線に乗り換え、新線新宿で下車すれば上手いこと新宿三丁目まで閑路で移動できるのではないかと企ててみたところ、そもそも直通の都営新宿線新宿三丁目に駅があり、新線の新宿駅は西口寄りにある。つまり、なんの解決にもならなかったの巻!

 

中島vs矢野〜町田vs新潟(7/31)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

ミッドウィークの一戦は野津田へ。ホームの町田は…絶不調っすね。去年はJ1ライセンスがないにもかかわらず昇格圏の順位にあって、一部J1クラブの希望の星みたいなキャラを押し付けられるくらいの好成績だったのですが、今年はすっかり下位から抜け出せない状態でおります。去年からの変化として挙げられるのは平戸が鹿島にレンタルバックしていっていたことですかね。昨シーズンはゼルビアの大黒柱といって過言でない立ち位置にあった平戸が、満を持して鹿島に復帰。結果、ゼルビアは不振、平戸もなかなか試合に絡めていない。“レンタルバックあるある”と言ってしまえばそれまでですが、皮肉なものです。

対する新潟は、これまた大苦戦。いろいろあって、切り札的にアルビレックスシンガポールの名物社長を迎え入れましたが、苦労してます。しかも、シーズン途中に“お友達人事”的な監督交代をしちゃいましたからね〜。責任は重大です。最も、政府で一番偉い人の施策から判断する限り、お友達人事をすればするほどは支持率が上がる島国が、どこぞのイーストエンドにあるみたいですが。

 

この試合は平日だったのですが、お気楽極楽稼業のワタクシは17時とかに登戸にいたりしました。しっかし、知らないうちに登戸って、すっかり藤子不二雄タウンになっているのですね。ミュージアム的なものができて以降。その登戸から10分くらい歩いたところに「ムーンライト」というブルワリースタンドがあるのですよ。“ブルワリースタンド”という言葉があるかどうかは知りませんが、要するにビール醸造所のカジュアルな直営店です。

そこに行ったのですが、いやあ、あたり! まずね、安いのですよ。各ビールともSサイズは300円。これは、いわゆる“飲み比べセット”のサイズで、300円で穏当。でも、1つ上のMサイズがだいたいジョッキサイズで、しかも400円〜700円くらいの価格帯。激安でしょ⁈  パイントより一回り小さいとはいえ、下手したらパイント1500円くらいするこのご時世。500円前後でクラフトビールのジョッキサイズが飲めるのだから、そりゃ、もう、天国ですよ。

 

ほろ酔いになりながらメインスタンドに着席。ピッチを眺めると、まず目に飛び込んできたのは、バックスタンド裏の小高い雑木林の崖っぺりが整地されていたこと。たんなる自然災害予防上の措置だとは思いますが、実は、サイバーエージェントマネーによるスタンド改修の布石だとすれば、めっちゃテンション上がるんですけど〜、どんだけ〜、チョベリグ〜〜。

新潟については、レオナルド、フランシス、カウエというブラジル人トライアングルが強烈です。余りにも強烈すぎて、一瞬、「外人頼りのクソサッカー?」とか思ってしまうのですが、高木二男や戸嶋や、やたら多い渡辺姓の1号・2号などが要所を押さえているので、外人頼りというようなことはないのかな、と。

 

試合の展開ですが、前半は基本的に新潟が圧倒します。もちろん、ゼルビア名物“ワンサイドにやたら人を集めるサッカー”の片鱗が垣間見える場面もありましたし、散発的ながら鋭いカウンターも発動していたのですが、総じて町田のアタッキングは低調。攻撃の不振が守備陣にも伝染したのか、わりとイージーな局面でCBが豪快なクリアミスをぶっかましすと、そのままレオナルドに決められて失点。前半の終了間際にはコーナーから大武がヘディングを叩き込んで、新潟2点リードでハーフタイムを迎えました。

このまま新潟の圧勝なのかなぁと思いつつ始まった後半45分。町田は頭から中島と戸高を投入すると、これがものの見事に功を奏す。2人とも右サイドに入ったのですが(どちらが最前線でどちらが2列目かはかなり流動的)、中島があらゆる場所で起点となり戸高がテクニックで相手守備陣を翻弄する。新潟左サイドは前半のうちに渡辺1号(何号かは知らんけど)が負傷退場して堀米がスクランブル投入されていたのですが、まあ、ものの見事にペンペンにされてました。

後半は前半とは逆に町田が新潟を圧倒し、そして戸高のテクニカルに巻いたシュートが新潟ゴールに吸い込まれます。まるで俊輔のフリーキックのような、それはそれは芸術的な弾道。がぜん勢い付いた町田は、角度のないところから放ったロメロ・フランクの豪快なシュートで追いつきます。その前の佐野か誰かのスルーも魅惑的でした。そして、極め付きは中島の同点ゴール。ケイマンが岡崎ばりの泥くささで潰れて中島が押し込みました。

新潟に視点を移しましょう。あれだけ左サイドがペンペンにされ続けていたのだから、例えば左SHとして矢野を投入などするなどして守備を再整理すれば良いものの、そこには手をつけず。むしろ、より攻撃的な本間を左SHに入れて、矢野を右SHとして使ってきた。そして、その矢野が再び追いつく同点ヘッドを決めるのだから世の中わかりません。というか、矢野がカラダを張って町田における中島の役割を果たしたことで新潟がペースを押し戻していたことが同点劇のベースにあるので、矢野に関してはそちらの功績の方が大きいかもしれません。

 

サヨナラ同点ホームラン〜YS横浜vs八戸(7/28)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

日曜日は三ツ沢です。ホームはYS横浜なわけですが、YS横浜といえば、フォーエバーで辻正男。その辻正男、また大怪我をしたみたいですね。ホント、もってない。YS横浜で大活躍して、より待遇の良いクラブに移籍すると、必ず怪我をしたり、チーム自体がズタボロでそもそも本領発揮する環境でなかったり、「全身全霊のプレー、自分のできるマックスのプレーを尽くしましたが、相手DFには通用しませんでした」って経験をできないまま現在に至っているのではなかろうか。

相手はヴァンラーレ八戸。八戸といえば“南部と津軽”のうちの南部。ラインメール青森でなく、ラインメール弘前だったら、ダービーとか、凄ぇんだろうなぁと下衆の勘ぐりをするのはワタクシだけでしょうか。ワタクシ的に八戸といえばフェリーに乗るところ。八戸から苫小牧へのフェリーは便利です。ただ、東京〜名古屋の夜行バスと同じで、一眠りするには時間が足りません。ちなみに夜行バスの東京〜大阪と、飛行機の成田〜西海岸が、だいたい同じ所要時間です。

 

最近はなぜか逗子にはまっていて、この日も横須賀線で赴いてみた。京急でも良いのですが、京急の運行体系、特急とか急行とかがどういうパターンなのかが今ひとつ理解できず、品川〜蒲田間の非特急停車駅から乗ると異様にイライラするので、比較的シンプルなJRで。んで、ホントなら別の店をチェックしていたのですが、うっかり店構えを早とちりしてしまい、「三三五五」という沖縄料理系のカフェでランチ。結果おいしかったので、なんら問題はない。

わざわざ逗子に来たのも、未踏の地である葉山に足を踏み入れるため。「よ〜し、葉山の御用邸を見学しちゃうもんね!」と意気込んだところ、まさかの……、いや、当然にも当然のことながら、そうそう気安く一般人が入れるわけもなく、スゴスゴと25分くらい歩いて森戸神社へ。隣は森戸海岸。森戸神社で敬虔な神仏習合教徒っぽくお参りをすれば、自動的に森戸海外で繰り広げられている湘南の真夏を体感できるシステム。生まれ変わったらパリピになります。

 

そんな思いを抱きながらニッパツに到着し、キックオフ。YS横浜は、なかなか面白いシステムですね。たぶんスターティングポジションは中盤ダイヤの442。この時点で21世紀になってからは珍しい。でも、ほんとの面白さは攻撃にトランジットしてから。まずでダイヤの左右が張り出して4トップ気味になる。そして、両SBの2人ともがアラバロールをしてトリプルボランチっぽくなる。攻撃時のフォーメーションは2314になるのです。

対する八戸ですが、正直、知らない選手ばかり。申し訳ない。知っているのは9番の上形くらいかな。長崎で奮闘してましたよね。逆に10番の新井山は完全に初見。10番なのに。元J1とかJ2が少ない、そういう選手層。でも、ちゃんとサッカーをやっているのですよ、これがまた。なんせ、監督さんが藤枝を率いていた大石さん。芸術家的なエレガントさはありませんが、職人的にきっちりチームを作ることに定評がある指導者なんで、ソリッドなカウンターを繰り出していましたよ。

 

特に目立っていたのが20番の三田ですね。この選手は前半だけで2〜3回裏抜けから独走状態になったのではあるまいか。ボールを持ちすぎてシュートチャンスを逃してしまうことくらい大目に見ましょう。それから、もう一つ目立っていたのが、大石監督のいい人加減。この日は暑くなったので給水タイムがあったのですが、そのときの大石監督ったら、ラインズマンにもボトルを手渡してあげていたのですよ。イメージばく上がりです。

後半に入って、スコアが動きます。吉田が蹴ったコーナーキックに進が合わせました。それにしても吉田のポジショニングは捕捉できなかった。たぶん左SBだと思うのですが、YS横浜にはSBという概念がそもそも存在しなかったのかもしれません。ともあれ、八戸はリードを許しました。なので、必死に反撃を仕掛けるのですが、どうにも判断スピードが遅い。だから、状況が厳しくなってミスも出る。わりと八方塞がりだったのですが、それでも途中出場の高見が奇跡のサヨナラホームランを放り込み、勝ち点1をもぎとりました。

 

この試合、ハーフタイムに売店に行ったところ、生ビールが売り切れておりました。つまり、想定(=通常)よりたくさん売れたということです。前日に台風(関東に辿り着く前に力尽きて熱帯低気圧に)が颯爽と通り過ぎていき、ようやく夏全開。7月下旬らしい暑さとなったことの影響が主要な原因かと思われます。

ただ、それに加えてアウェイから駆けつけたサポーターがそれなりに多かったということもあるような気がします。それで、若かりし頃、上京したての時期に抱いた感覚が戻ってきました。それは「関東と東北って、近い!」という感覚です。西日本の人間の感覚だと、東北って九州みたいなイメージで、京阪神と九州がそうであるように、関東と東北って別世界だと思っていたのですよ。ところが、特に東北人の皮膚感覚だと、東北と関東の関係は、北陸と京阪神みたいな感じらしい。なので、横浜くらいならたくさんサポーターも来る。何より首都圏在住の東北人って、非常に多いのだと思われます。ってことを再認識した生ビール売り切れでした。